日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長は28日の会見で、アスリートたちへの批判について次のように苦言を呈した。

 「正直言って、選手たちは国民やマスコミからの批判、怒りの的になることを非常に恐れている。私事で恐縮だが、41年前のモスクワオリンピックを日本はボイコットしたが、当時一緒に住んでいた友人が二カ月月半くらい前に連絡をくれて、思い出したことがある。

 私のところに激励の手紙がたくさん来る中に一通、私の言動に対して非常に批判的なものがあった。“アフガニスタンでは多くの人が尊い命を落としている。そういう現状を知りもしないで、あなたは自分の好き勝手、自分の事だけを考えてやっている。わがままもいい加減にしろ”という内容の手紙だった。私は立ったまま、ただ手を震わせながらそれを読んでいた。そして泰裕、翌日からのお前の練習に打ち込む姿勢は、何か元気が無かったよ、と話をしてくれた。

 多くの選手達が国民からの声援を受け、いつもそれが力になっている。しかし今回、練習に打ち込んでいていいのか、ワクチンを接種するのはわがままじゃないのか、選手たちにそういう思いをさせてしまっていることに、会長として非常に責任を感じている。選手たちを守る役割を果たして来られなかったと思っている。それは彼らや彼女が受けるべき責めではなく、日本オリンピック委員会が受ける責めだと思っている。

 一部の選手には、私のとき同様に、心ないメッセージが届いている。この場を借りてお願いしたいが、選手たちにそういう働きかけをするのはやめていただきたい。叩くんだったらJOCとその会長の私を、あるいは組織委員会を叩いてほしい。

 多くの選手にとって、オリンピックで一生に一度のもの。1980年のモスクワオリンピックを日本はボイコットしたが、当時のアスリートの中には、いまだに傷を癒せない人もたくさんいる。1984年のロサンゼルスオリンピックでは、東側の国々で参加できなかった参加できなかったアスリートがいる。2010年に会って交流したが、やはり心に傷を負っていた。彼ら彼女らには何の責任もない。そこだけはご理解いただきたい」。


ソース(ABEMA NEWS)
https://news.yahoo.co.jp/articles/e8c40dac9a9b2b8c2df033feed560ad9ec4a83fa