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現在、民放のゴールデンタイムでレギュラー放送されている音楽番組は、『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)と『CDTVライブ!ライブ!』(TBS系)の2つ。
前者は1986年から放送し続け、後者は1993年スタートの『COUNT DOWN TV』を引き継ぐ形で放送されている。どちらも局を代表する長寿音楽番組と言っていいだろう。

しかし、このところの視聴率は壊滅的な結果が続いている。『ミュージックステーション』は、5月7日が個人3.0%・世帯5.2%、14日が個人3.2%・世帯5.3%、21日が個人3.8%・世帯6.3%、28日が個人4.0%・世帯7.0%、6月11日が個人3.5%・世帯6.3%。

『CDTVライブ!ライブ!』は、5月3日が個人3.1%・世帯5.0%、17日が個人2.0%・世帯3.4%、24日が個人1.9%・世帯3.1%、6月7日が個人2.4%・世帯4.2%、14日が個人2.6%・世帯4.5%。

『ミュージックステーション』は絶好調の『ザワつく!金曜日』と、『マツコ&有吉 かりそめ天国』からのいい流れを分断してしまい、『CDTVライブ!ライブ!』は民放5局最低に沈むTBSの月曜ゴールデンタイムの中で最も低い視聴率を続けている。「今さら視聴率なんて」と思うかもしれないが、ともに「ライブ」をベースにした音楽番組のためドラマのような録画やネットでの視聴は見込みづらく、いまだ視聴率が重要な指標であることは変わっていない。これが局内外で「お荷物」扱いされる最大の理由になっている。

ともに長年親しまれてきた長寿音楽番組でありながら、なぜ局内外で「お荷物」と言われる存在に落ちてしまったのか。さらに、なぜそのような状態になっても打ち切られないのか。

■音楽番組が時代から取り残された理由
視聴率がここまで激しく落ち込んでしまったことに対する理由は1つではなく、テレビマンの間で音楽番組の視聴率が取れなくなった最大の理由として挙げられているのは、「大ヒット曲が生まれづらくなった」こと。人々の音楽嗜好が多様化して、国民的なアーティストや誰もが歌えるヒット曲が生まれづらくなり、たとえば1時間番組に5〜6組のアーティストを招いても、そのファンしか見てもらえないため、視聴者の絶対数が少ないのだ。また、その2010年代に「音楽を見るコンテンツ」としてネット動画が定着したことも大きい。

アーティストやレーベルの公式アカウントが積極的にコンテンツを発信することで、「好きなアーティストを、好きなときに、好きなデバイスで見られる」ようになり、「わざわざ毎週同じ時間に、どのアーティストが出るかわからないテレビ番組を見よう」という人が減ってしまった。

さらにもう1つ、「お荷物」扱いされやすくなったわかりやすい理由がある。それはテレビ番組に出演したがらないアーティストが増えたこと。わかりやすいのは連ドラの主題歌を担うアーティストたちで、彼らは人気があるからこそ起用されるのだが、音楽番組に出演しないケースが目立つようになった。

それでも2つの長寿音楽番組が打ち切られない理由は、3〜5時間程度にわたって生放送される大型特番の強さによるところが大きい。数ヵ月に一度放送される大型特番は、そのスケールとフェスのようなお祭り感から高視聴率を記録することが多く、SNSの動きも活発で、ライブコンテンツの強みを発揮できている。大型特番の放送頻度が上がっていることも含めて、存在意義の1つとなっているのは間違いないだろう。

ただ、両番組が視聴率だけでは判断できないブランド価値を有していることは事実だ。たとえば『ミュージックステーション』は、長い歴史を持つ上に、タモリを生放送で見られるだけでも貴重。さらに、『ミュージックステーション』という王道の音楽番組があるからこそ深夜帯に『関ジャム 完全燃SHOW』というマニアックな音楽番組を手がけられる。

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