“塩漬け”が続く巨人きっての人気選手、小林誠司捕手(31)について球団幹部が今季中のトレード放出の可能性を否定した。

 巨人は5日の広島戦(マツダ)で4−0の快勝。完封リレーを演出したのは、先発マスクの炭谷銀仁朗捕手(33)の好リードだ。右肩違和感から復帰登板の先発、エンジェル・サンチェス投手(31)が7回無失点の好投。気難しい助っ投をかいがいしく導いた女房役が、守備面で改めて評価を高めている。

 打力で主戦捕手を務めてきた大城との間で正捕手争いが再燃。同じ1軍の土俵にも立てない小林は、今やすっかり蚊帳の外だ。2軍でさえベンチを温め、この日のイースタンリーグ・DeNA戦(ジャイアンツ球場)では高卒2年目の山瀬が先発。小林は9回に代打で登場し、四球を選んだのが唯一の出番だった。

 先月7日に2軍降格した際、元木ヘッドコーチが「打撃をもっと上げてこないとスタメンで使えない」と打撃面を課題に挙げたが、2軍の投手相手でも33打数1安打で打率・030。1軍捕手陣に故障でもない限り、昇格理由は見つからない。

 原監督の全権体制下、「飼い殺しはしない。他球団に生かす道を見つける」としてトレードに積極的な近年の方針に照らせば、現状の小林も有力な交換要員となるはず。シーズンを通して主戦捕手を務めた貴重な経験と人気を兼ね備え、パ・リーグを中心に依然として他球団から引きは強い。

 だが、球団幹部は「今の捕手の人数が全体で9人。1−3軍にそれぞれ3人ずつ必要だから、トレードしても結局、捕手同士になる。それでは意味がない」と、小林をトレードのコマと見ていないことを明言する。

 コロナ禍への備えも、専門性が高いポジションの人員を確保したい状況に拍車をかける。巨人では4月上旬に新型コロナウイルスの陽性判定者を4人出した。ゴールデンウイーク中には日本ハムでクラスターが発生し、チーム活動が休止に追い込まれたばかりだ。

 球界屈指の強肩は今季、ファームでくすぶり続ける定めなのか。

5/10(月) 16:56
https://news.yahoo.co.jp/articles/c84a5dfa4f229fe366ec0203d911cba7acdb858a