東日本大震災の発生から10年を迎えるのに合わせて日本政府は25日、被災地の児童に寄付金を送るなど支援活動を続けてきたカナダ在住のプロレスラー、タイガー・ジェット・シンさん(76)に両国友好親善への貢献に感謝する表彰状を授与した。在トロント日本総領事館が開いた授与式でシンさんは「(レスラーとして)49年間過ごした日本は私の故郷。心は被災した人たちと共にある」と語った。

 シンさんは1973年に新日本プロレスでデビュー。サーベルなど凶器を使った攻撃で「インドの狂える虎」の異名を取り、アントニオ猪木さんやジャイアント馬場さん、輪島大士さんらとの勝負で人気を博した。一方、地元トロントでは80年代から子供や医療機関に対する慈善活動を続けた。2010年には社会貢献をたたえ、地元の公立小学校にシンさんの名前がつけられている。

 11年の震災発生当時、シンさんと息子のレスラー、アリさん(47)が設立した財団はトロント周辺の学校などで募金活動を行い、集めた2万5000カナダドル(約200万円)超とカナダの子供たちからの励ましのメッセージを被災地に送った。

 オンライン形式で開催された授与式で、佐々山拓也総領事は「日本の人々は当時の支援を忘れていない」と感謝を述べた。授賞理由には「日本プロレス界の隆盛と発展への大いなる貢献」も加えられた。シンさんは震災当時を振り返り「津波の知らせを聞いたときは胸が張り裂けそうだった。日本には家族同然の人たちが多くいる。何かしなければとの思いだった」と語った。

 シン財団は今後も被災地支援を続ける考えで、この日は新たに2万カナダドルの寄付も発表された。総領事館は日本赤十字などを通じ被災地の児童支援などに生かしたい考えだ。【ワシントン高本耕太】

ソース毎日新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/967e41cfec4e0dd2aaa4d04e23988393acbd620d