1/29(金) 21:05配信
J-CASTニュース

Signal-MD公式サイトより

 アニメ制作会社「Signal-MD」(シグナル・エムディ)が、公正取引委員会から下請法違反で指導を受けたことが2021年1月28日、分かった。同社の親会社「IGポート」が取材に明かした。

 IGポートは「改めてコンプライアンスを徹底し、法令等を遵守した健全な経営に努めて参ります」とコメントしている。

■「下請法の肝の部分」に抵触

 シグナル・エムディは14年設立。『劇場版 Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット- 前編』『はなかっぱ』『プラチナエンド』などの制作を手がける。

 親会社はジャスダック上場企業のIGポートで、「プロダクション・アイジー」「ウィットスタジオ」など複数のアニメ制作会社を傘下に持つ。

 指導は1月19日付。下請法第3条第1項では、親事業者は下請け事業者に対し、委託内容を記した書面(いわゆる3条書面)を交付する義務があるが、これに違反した。

 公取委下請取引調査室の担当者は27日、J-CASTニュースの取材に「個別事案の詳細については答えられない」としつつ、「3条は下請法の肝の部分です。注文したら必ず所定の事項を記載した注文書を出してくださいという話です。そこが守れていないというのが第3条1項の規定に違反する行為が認められたということです」と話した。

 公取委に違反の事実を指摘したのは、アニメーターの久高司郎さん(55)。「ルパン三世」「ポケットモンスター」「妖怪ウォッチ」などの人気作に関わった。

プロデューサーから「お前切るぞ」
 久高さんによれば、シグナル・エムディから打診され、19年11月から30分のアニメ番組の制作に作画監督として携わった。

 36万円の契約を口約束で結び、前金として18万円を受け取ったものの、残りの額はいまだに支払われていないという。12月末に担当のプロデューサーに請求書を送るも、受け取りを拒否された。

「私もうっかりしていた面はありますが、アニメーション業界では口約束が多いこともあって書面で契約を結んでいませんでした。あまりにもひどい状況になっているので最近では書面で見積もりを出してもらうようにしていたのですが、立場的には圧倒的に向こうが上で、当時はお金に窮していたこともあり口約束で二回払いで呑みました」

 アニメ関係者からなる日本アニメーター・演出協会の「アニメーション制作者実態調査2019」によれば、「必ず契約書を取り交わしている」と答えたのはわずか13.9%で、「時々取り交わしている」が31.4%、「まったく取り交わしていない」が36.4%だった(382人回答)。受注側としては「基本的には取り交わしたいと思う」「取り交わしたい仕事もある」が合計85.6%に上る(312人回答)。

 久高さんは、プロデューサーから支払いを拒んだ理由を「あまり仕事をしていないから」「成果を見せてからにしろ」と説明されたという。
>>2続く
https://amd-pctr.c.yimg.jp/r/iwiz-amd/20210129-00000019-jct-000-1-view.jpg
https://news.yahoo.co.jp/articles/c2fbed2909813645c5da4f26d58ba5bd6864800d