1/14(木) 17:00
デイリー新潮

フジ「知ってるワイフ」は放送枠で損した?名作を生んだ伝統の「木10」はなぜ衰えたのか
ドラマ「知ってるワイフ」(公式HPより)
 フジテレビの1月期の連続ドラマ「知ってるワイフ」(木曜午後10:00)は良く出来ているとSNS上で評判高いが、1月7日の初回の世帯視聴率は6・1%。木10こと木曜劇場は「愛という名のもとに」(1992年)などを生んだ伝統のドラマ枠であるものの、放送枠の力がすっかり衰えてしまったらしい(視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区)
「知ってるワイフ」の主演は関ジャニ∞の大倉忠義(35)。役柄は平凡な銀行員・剣崎元春で、結婚5年目の妻・澪(広瀬アリス、26)との関係は冷え切っていた。

 夫婦関係を悪化させた責任の大半は元春にある。2人の子供の育児に非協力的だった一方、こっそり高価なゲーム機を買ってしまうなど家庭人の自覚が足りない。もっとも、悪い男ではなく、世間によくいる学生気分が抜けないタイプである。

 澪に叱られてばかりの元春は「こんなはずじゃなかった」と頭を抱える。大学の後輩でお嬢様の沙也佳(瀧本美織、29)を結婚相手に選んでいたら、幸せになれたのではないかと夢想する。これも世間にありがちな話。

 けれどドラマではタイムスリップによって「違う相手との結婚」が現実となる。映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(1985年)を彷彿させる物語だ。

 2年半前に放送された韓流ドラマのリメイクで、設定を日本に置き換えたが、不自然さはない。タイムスリップ話は荒唐無稽であるものの、それを除くと現実味に溢れているので、説得力が生まれている。見る側を引き込む。

 なにより出色なのは大倉と広瀬の演技。大倉は世間によくいる平凡な若手サラリーマンを好演している。奇抜な人間より平凡の人を演じるほうがずっと難しい。特徴が乏しいからだ。

 一方、広瀬は名コメディエンヌとしての名声を既に固めているが、今回はシリアスな役。自覚のない夫に苛立つ妻をやはり巧みに演じている。

 それでも視聴率が獲れない。1月7日放送の初回は世帯視聴率が6・1%。合格水準とされている10%を大きく割り込んだ。昨年4月から発表されるようになった個人視聴率も3・3%と低い。「相棒」(テレビ朝日)の再放送を下回るレベルである。

 木10はこれまでに「29歳のクリスマス」(1994年)「眠れる森」(1998年)「白い巨塔」(2003年)などの名作を生み、高視聴率も得てきた。伝統のドラマ枠なのだが、どうやら放送枠の力が衰えてしまったようだ。

「枠の力」という言葉をテレビマンたちは日常的に使う。例えば、佐藤健(31)や菅田将暉(27)ら人気役者を主演に据え、良質の脚本を用意しようが、低視聴率ドラマが続いていた放送枠では高い視聴率が得にくい。

 視聴者側にその放送時間帯は他局の番組を見る習慣が出来てしまっているからだ。さらに深刻なのは、特定の放送枠で低視聴率ドラマを立て続けに流すと、視聴者は「どうせ次もつまらない」と思い込んでしまうようになる。負のスパイラルに入る。「この枠では当たらないから出たくない」と出演に難色を示す役者まで出てくる。

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https://news.yahoo.co.jp/articles/884d93d46d029c2921e6ac9974b4aa30fad6bea8
>>2続く