判定結果を聞いた朝倉未来(右)は「俺が勝っていたと思っていた」と呆然(写真・RIZIN FF)

総合格闘技イベントの「RIZIN.25」が21日、大阪城ホールで行われ注目のRIZINフェザー級王座決定戦は朝倉未来(28、トライフォース赤坂)が修斗世界フェザー級王者の斎藤裕(33、パラエストラ小岩)に0−3の判定で敗れるという波乱があった。朝倉は2度のテイクダウンを奪われ、3ラウンドには逆転KOを狙う左ストレートをヒットさせたが、斎藤は不屈の精神力でダウンを拒否した。朝倉はRIZIN参戦以来初黒星。試合後にはダイレクトリマッチを要求した。

初代王者の斎藤裕は試合後病院へ
 判定を待つ2人の姿は対照的だった。
 斎藤の右目の回りは赤く変色して腫れあがり鼻からは血が流れ出ていたが、朝倉は綺麗な顔。だが、「青!斎藤」、「青!斎藤」と2人のジャッジが斎藤を支持したことがアナウンスされると朝倉は明らかに不満げな表情を浮かべてセコンドを振り返り、3人目のジャッジも斎藤に付けて0−3判定となったことを知ると一度も笑わないままリングを降りた。
 新型コロナの影響で観客は大阪城ホールの収容人数の半分に制限されていた。2日で完売したチケットを幸運にも手に入れた5487人のファンが見守った会場は、カリスマユーチューバーの陥落の歴史的瞬間を目の当たりにして異様な雰囲気に包まれていた。
 やがてマイクをとった斎藤が「言葉はないのですが…」と嗚咽して号泣。
「人生いいことばかりじゃないですけど、一生懸命やっていると結果が残せると実感しています」と誠実に言葉を絞り出すと、祝福の拍手と声援が止まなかった。
 リング上では引退したばかりの阪神の藤川球児氏が、初代王者のベルトを斎藤の腰に巻き大阪のファンをもう一度、熱狂させた。

 病院へ行くため斎藤の試合後の会見はオフィシャルの3つの質問だけに限られた。
「朝倉選手は、めちゃくちゃ強かったです。それが感想です。紙一重でした。きょうは自分に運があったと思っています」
 斎藤の後に会見スペースに黒いTシャツ姿で現れた朝倉は淡々としていた。
「斎藤選手。強かったですね。うん、でも(自分が)勝っていたと思っていた。1回、早く試合(の映像を)見直したいところがあるんですが、審判が3人とも、あっちを上げたのでそういうことなのか…と。パンチも組みも思ったよりもパワーがありました」
 叩きのめされたわけではない。
 まだ素直に判定結果を受け入れられない戸惑いが見えた。

11/22(日)
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