10月に続いて欧州組のみによる親善試合を行っているサッカー日本代表。その中で、うなぎのぼりに評価を高めているのがボランチの遠藤航(シュツットガルト)だ。

 オランダ遠征では第2戦のコートジボワール戦に先発。第1戦のカメルーン戦で守備に追われることの多かった日本に安定感をもたらし、1−0の勝利に貢献した。

 今回のオーストリア遠征でも好調は継続中だ。後半から出場した13日のパナマ戦では、前半に苦しんだチームを攻守においてギアアップさせ、1−0の勝利の原動力となった。スポーツデータ配信会社『Opta』の公式ツイッターによれば、パナマ戦では45分間のみの出場ながら、デュエル勝利数は日本チーム2位の10回。敵陣へのパスは17本で、成功15本、成功率は両チームを通じてトップの88・2パーセントだった。

 ボランチというポジションもさることながら、16年リオデジャネイロ五輪では主将を務めており、キャプテンシーの面でも“ポスト長谷部誠”との呼び声が高い遠藤。評価を急上昇させている進化の裏側を紐解く。

「最近はデュエルマスターと呼ばれるようになっていて」

 オンライン会見の画面越しに語る遠藤は、笑顔も交えた充実の表情を浮かべてそう言った。自身の言葉通り、今季からプレーするブンデス1部では、7節を終えた時点でデュエル勝利数がリーグ1位の116回を記録し、ドイツメディアから絶賛されている。

「開幕当初は気にしていなかったし、まさか僕が上位争いをするとは思っていませんでしたが、データを見るようになってからはそこで1位を取ることを目標にやるようになっています。シーズン終了時にも球際勝率1位でいられるようにしたいですね」

 ブンデス1部ではリーグ公式データとして「ツヴァイカンプフ(1対1の競り合い)」の数字がランキング化されている。もともとデュエルの強かった遠藤にとって、守備能力の数字による可視化がプレゼンスを高めるうえで追い風となったのは間違いない。

 もちろん、デュエルそのものの向上もある。

「まず、フィジカルベースは間違いなく上がっています。それと、海外の相手に対してもあまり駆け引きをせずにバチバチと当たっていくというのを特に意識をしています。駆け引きも重要だけど、基本的にはしっかり当たりに行って奪うことを大事にしています」

 では、当たりに行けるようになったのはなぜか。遠藤は頭脳とフィジカルを挙げる。

「しっかり当たるためには、良いポジショニングから良い守備をしていかないといけない。ボールホルダーや(ボールを持っていない)相手、そして、味方のポジションがどういうところにあるのか、常に頭を使いながら自分のポジションを置いています」

 フィジカル面はどうか。遠藤は「アプローチのスピードなどが良くなってきている」と言いつつ、「それに加えて、1対1でシンプルに負けないという気持ちのベースが向上していると思う」と分析した。

 一方、攻撃面に目を移すと、ここで遠藤が本格的に武器としつつあるのが、縦パスの技術だ。これまで日本代表でボランチを任される選手は、守備的なタイプである場合、どうしても攻撃面が弱点となっていた。遠藤には「もともと縦パスは持っていた」という自負もあるが、国際Aマッチで全幅の信頼を得るまでには至っていなかったはず。しかし、パナマ戦では一段上にいった印象を残した。

 その象徴が、60分に2列目の久保建英に当てたくさびだ。速さも軌道もタイミングも完璧な縦パス。日本は久保のラストパスを受けた南野拓実がペナルティーエリア内で倒されてPKを獲得。南野が決めて1−0の勝利につながった。

全文はソース元で
https://news.yahoo.co.jp/articles/56d15f24906b14d92c55a91886fb40f09c50b42e
https://amd-pctr.c.yimg.jp/r/iwiz-amd/20201117-00010000-victory-000-1-view.jpg