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秋の行楽シーズンを迎える中、観光地尾道で会員制交流サイト(SNS)への投稿をきっかけに「炎上」と「共感」が広がる対照的なケースが起きた。

いずれも新型コロナウイルス禍での接客を巡る対応だ。政府の観光支援事業「Go To トラベル」は東京発着が今月追加され、人の往来がますます盛んになる。専門家は「安易に賛否で盛り上がるべきではない」と注意を促している。

【画像】スタッフが怒鳴られたという千光寺山ロープウェイのツイート
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 炎上の発端は、実業家の堀江貴文氏によるフェイスブックへの投稿だった。堀江氏が市中心部の飲食店を9月下旬に訪れた際、同行者がマスクをつけておらず入店を断られたとし、「着用ルールを聞いただけなのに失礼な対応」などと批判した。店側もブログで反論し、SNSでは双方への非難が集中した。

 店主男性によると、店内で感染拡大が起きると営業が続けられないため、マスク着用は譲れないルールだったという。店には60件以上の嫌がらせの電話が殺到。予約の電話が取れず家族も体調不良となり、休業に追い込まれた。

 男性は「(堀江氏は)発信力が圧倒的で、人の悪意も刺激する。うちは身を守る方法がない」と嘆く。現在も店は再開できない状態が続き、「ぐっとこらえ反論しない方が良かった」と複雑な感情をにじませる。

 一方、SNSで好意的な反響が広がったのが、市街地と千光寺山を結ぶ「千光寺山ロープウェイ」の公式ツイッター。9月中旬の投稿で、利用客から「このご時世なのに人が多い」と怒鳴られたスタッフがいたと明かし、混雑緩和や新型コロナ対策に努めていることに理解を求めた。投稿には、計約8万件の「いいね」が付いた。

 ただ、運営するおのみちバスは「お客さまの話を投稿するのは不適切。書き方次第では炎上した恐れもある」と振り返る。今後、SNS運用のガイドラインを設ける方針だ。「担当者の感性とリスク管理のバランスが大切」と戒める。

 広島大大学院の匹田篤准教授(社会情報学)は「SNSは、共感が軸になるメディア。投稿は人の心を癒やす一方で、偏った感情や価値観を増幅させ、小さなトラブルでも炎上に発展しやすい」と利用者に冷静な対応を求めている。

10/7(水) 8:00 中国新聞社
https://news.yahoo.co.jp/articles/e1bc305705d7e52fb00ff63d27121ca72ee17e1c