2020年10月06日 05時15分
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 東京ドームがNGなら…。セ・リーグ首位を独走する巨人は日本シリーズに進出した場合、京セラドームをホームの開催試合とすることが5日に正式決定した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で日本シリーズの開催時期がズレ込み、東京ドームに先約≠入れていた社会人の都市対抗の日程と重複したのが理由だが、晴れの舞台に本拠地を使用できない異例の事態に陥り「自前球場待望論」が再燃しかねない状況となっている。

 新型コロナ禍のシーズンは最後まで異例ずくめとなりそうだ。日本野球機構(NPB)は5日、日本シリーズに出場するチームが本拠地を使用できない場合の代替球場を協議し、巨人はオリックスの本拠地・京セラドームで頂上決戦を行うことが決まった。

 東京ドームを使用できない理由は日程のバッティング。今季開幕が約3か月遅れたことで、日本シリーズも当初予定された11月7日から同21日に変更され、同22日から開幕する都市対抗と重なってしまった。

 新型コロナ禍の先が見えなかった中での日程重複。やむを得ない事情ではあるが、巨人は東京ドームに年間20億円以上と言われる使用料を支払っている。しかも、今年で開場32年目を迎えた同球場は2023年の開幕を目指し、約100億円をかけて段階的に大改修を行っていく。

 これに伴い、親会社の読売新聞社だけでなく球団側も費用を供出するという。こうした背景もある中で、日本シリーズの大舞台では、勝手知ったる本拠地を使えないのは歯がゆさが残るのも当然だろう。

 そこで再燃しかねないのが読売グループの悲願でもあった「自前球場」の建設だ。かつては築地市場の豊洲移転による跡地が有力候補に浮上したこともあった。しかし、小池百合子都知事が「食のテーマパーク」の構想を掲げたことで築地跡地プラン≠ヘ事実上の白紙に戻った。加えて、東京ドームの大規模改修に全面的に協力することから「自前球場」の夢も完全に消滅したかに見られていた。ところが…。

「一部の読売上層部は、まだ自前球場の建設を諦めていません。もちろん、だからといってトントン拍子に事が運ぶことはないでしょうが、これはグループ全体の長年の悲願ですから。そう簡単には消えることはありませんよ」(球界関係者)

 待望論は沈静化したにすぎず、実は水面下では依然としてくすぶっているという。本拠地以外で日本シリーズが開催されれば、近鉄と広島が日本一を争った1980年に日生球場の収容能力不足と藤井寺球場のナイター設備の不備から近鉄の主催試合(第3戦から第5戦)を大阪球場で行って以来、40年ぶり。となれば「外的要因に左右されない自前球場を…」と再び風向きが変わる可能性もあるというわけだ。

 5日終了時で、巨人は優勝マジック17。クライマックスシリーズが行われない今季のセではリーグ優勝と同時に日本シリーズ進出も決まる。異例の京セラドーム開催が「自前球場」への大きな転機となるか――。