7/23(木) 23:22配信
中日スポーツ
◇23日 大相撲7月場所5日目(東京・両国国技館)

炎鵬

 高安と照ノ富士、元大関同士の対戦は思いのほか見応えのある相撲であった。両力士は右四つが十分。これは予想外の展開である。互いに上手が取れずに動きが止まった。若くて体の大きい照ノ富士が有利と見られたが、自分から攻める気配がない。高安の方が積極的に左からしぼり待望の上手を引くとガブるように寄り切った。照ノ富士だが、この一番を見る限りかなりヒザを気にしているのが分かる。まだ本調子には程遠い相撲である。まあ仕方のないことだ。とにかく無謀な取口だけはしないことである。高安は昨日は若手に翻弄(ほんろう)されて面目を失ったが、今日は意地を見せた一番であった。

 その元大関を翻弄した琴勝峰が今日も大ベテランで怖い顔の松鳳山を破り5連勝。立ち合いから松鳳山の激しい攻めに土俵際まで追い込まれたが、柔らかい腰に物を言わせ小手投げで体を入れ替えて逆転した。勘の良さが光った一番である。

 この若さで何でも出来る力士はそうはいない。前にも出られるし、下がっても足元が乱れることもない。器用というより天分としか言いようがない。いったいどれだけ強くなるのか予想もつかない。願わくば今の体重をキープしてもらいたい。大きいとはいってもまだ少年の体である。稽古を重ねて大人の体になった時はとてつもない力士になるだろう。

 ところで私のひいき力士の炎鵬はどうも元気がない。体が小さくなったようだ。特に首が細くなったのが気になる。相撲内容も淡泊だ。今日の相撲は完全に立ち遅れである。あの場合は遠慮しないで、大きな声で待ったをするべきだ。もっと飯を食って体重を戻せ。卵かけご飯ばかりじゃ力が付かない。肉を食え肉を。このじじいの俺でも3日に一度は肉を食っている。まだ500グラムはいけるぞ。

 私が優勝予想に挙げた御嶽海が遠藤を一気に押し出して全勝を守った。持ち前の図太さが自信となってくると、白鵬と朝乃山も油断はできない。もっとも朝乃山と白鵬の5日目の相撲を見ると、油断するようなことは考えられない。

 朝乃山は伏兵霧馬山に大苦戦したが、じっと我慢して勝機をうかがった。霧馬山の一瞬の巻き替えるところを逃さずに寄り切った。白鵬はどんどん調子を上げてきたようだ。相手の低い当たりに白鵬は、十分過ぎるほどヒザを曲げ腰を落として踏み込んだ。相当気合が入った立ち合いである。白鵬の頭の中には優勝の2文字しかないに違いない。今場所は高いレベルの優勝争いになることは十分予想できる。楽しみである。

 それでは原稿を送って食事にしよう。丁度すしの差し入れが来たのでそれを頂こうか。ありがたい。(元横綱)

https://amd.c.yimg.jp/amd/20200723-00010068-chuspo-000-1-view.jpg

https://news.yahoo.co.jp/articles/7c955fde4d9fdd66f4cceee9b3a9ef0b0f6a0011