就任から1年を迎えた日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長(63)は14日、東京都内で記者会見を開き、自身が選手強化本部長時代に掲げた東京五輪金メダル数30個の目標は「変えるつもりもない」と宣言した。
日本史上最多の金メダル獲得に向けて、新型コロナウイルス感染拡大の影響で強化活動の制限が続くアスリートに寄り添い、積極的な支援を約束した。

 新型コロナウイルス感染防止策でソーシャルディスタンスがとられた記者会見場。JOCの山下会長は62分間の会見の中で目標に掲げている「東京五輪で金メダル数30」を、改めて明言した。

 「その目標を変えるつもりもない。これからでも最高の準備をして最高の力を発揮したら、目標を達成できると思う」

 コロナ禍でスポーツ界の環境は一変した。海外勢も含めて練習環境が制限されるなど先行きは不透明のまま。一刻も早いコロナ収束など「優先すべき課題はある」と前置きした上で「選手が夢に挑戦すれば達成は可能」と2年前に設定した史上最多金メダル30個の目標を修正しなかった。

 本来であれば、10日後の今月24日に五輪が開幕するはずだった。だが、新型コロナの影響で1年延期。日本がボイコットした1980年モスクワ五輪を乗り越え、84年ロサンゼルス五輪で金メダルを獲得した柔道家は、大会実施と成功についても言及した。

 「私の五輪とは、世界中のアスリートが集い、最高のパフォーマンスを発揮できるような環境を整えること。安心安全が確保されないと最高のパフォーマンス発揮は難しいと思う」。
アスリートファーストの重要性を説き、代表の活動拠点、東京・北区の味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)の環境整備や積極的な情報共有などサポートを約束した。

 「新型コロナの影響で社会全体が落ち込んでいる今だから、スポーツを通じて、明るい話題で社会に活力を与えたい」
昨年6月に就任し、任期2年の山下会長はスポーツが持つ底力を強調した。財政の確保や社会の理解など課題は多いが、心を一つに不退転の覚悟で挑む。(石井文敏)
https://www.sanspo.com/sports/news/20200715/oly20071505020001-n1.html