6月19日の開幕へ向け、2日に無観客で行われた練習試合では、さまざまな感染予防策が実施された。巨人―西武戦が行われた東京ドームでは、グラウンド内外で徹底した対策が取られた。両球団の球場入り口からベンチまでの動線を完全分離し、報道陣と選手の接触も制限。NPBから配布されたガイドラインに基づき、試合中も3密対策が取られた。そこには新型コロナウイルスと「共存」する、新たなプロ野球の姿があった。

 両軍の選手は試合後、記者に囲まれることなくパソコンの前に座った。同じ球場内にいながら、リモートで質問に答える。新たな取材の形だ。

 得点した際、手のひらが触れ合わない「エアタッチ」で喜びを表現した巨人・原監督は「(開幕が決まり)爆発する舞台は整っているけれども、辛抱の部分もある」と律した。試合後は30人近くに囲まれてきたが、球団側が記者を3人に限定。フェンス越しに約2メートルのソーシャルディスタンスが取られた。

 練習試合中断前の3月は、各球団が手探りで行った感染防止対策。5月中にNPBからガイドラインが配られたことで明確化された。球審、ボールボーイはマスクを着用。「開幕を迎えられないのはつらいので、しっかりやっていこうと」と辻監督ら西武首脳陣は自主的に、ベンチ内やコーチスボックスでもマスクを着けた。

 東京ドームでは、濃厚接触を「集団ごと」にとどめる工夫がなされた。これまで一緒だったホームと、ビジター球団の「動線」を完全に分離。球場入り口からそれぞれのルートでロッカールームまで向かった。報道陣が同通路やグラウンドに立ち入ることは制限され「ぶら下がり取材」は消えた。球場に入った全員が移動手段や、来場までの行動を記録表として提出した。

 3月はスタッフが体温計で行っていた報道関係者入り口の検温は、高性能サーモグラフィーを導入。瞬時に体温が画面上に表示され、37・5度以上では入場はできない。入場も試合開始1時間前からとされた。スタンド記者席は1区画6席から、密接を避けるため2席に減らし人数を制限。ベンチ横のカメラマンスペースも各自2メートルの距離を取り、一部がエキサイトシートまではみ出る形になった。

 球場には「ウィズコロナ時代」の在り方が凝縮されているように見えた。約2カ月ぶりの対外試合に原監督は「昨日の夜も含めて、高揚感がある。やっぱり野球というものが好きなんだなと」と喜びを口にした。6月19日に開幕するプロ野球はコロナと「共存」し、一歩ずつ前に進んでいく。 (神田 佑)

(以下略、続きはソースでご確認下さい)


2020年06月03日 05:30野球
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