2020年5月4日 7時0分スポーツ報知 # 野球# プロ野球

 元阪神投手のマット・キーオさんが、1日(日本時間2日)に死去した。64歳だった。スポーツ報知評論家の掛布雅之氏(64)=阪神レジェンド・テラー=がキーオ氏との思い出を振り返り、同じ年齢の右腕の死を悼んだ。

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 訃報に接し、少し猫背で立つ背番号「4」のマウンド姿が、まぶたに浮かんだ。キレのあるストレートとスライダー、縦割れのカーブを武器に、来日1年目から先発ローテの軸として頑張ってくれた。2年しか一緒にプレーしていないのだが、もっと長かった気がする。それほど近い存在だったのだろう。

 陽気なアメリカンで、すごく楽しい男だった。年齢も同じで、ロッカールームでたわいもない会話をよくした。「カケフはスケベ、イチバンね」など冗談が大好き。ユンケルとか栄養ドリンクが大好物で、いつも飲んでいた。特に自分が登板しない日は元気いっぱいだった。

 ところが、マウンドでは弱気な一面もあった。終盤のピンチで、マウンドに出向いたコーチに自分から「代わりたい」というタイプだった。

 私は、95年の秋季教育リーグなどでエンゼルスの若手指導に携わった。阪神の元渉外担当の本多達也氏の縁からだったが、当時、キーオもフロントとしてエンゼルスに在籍。私がスムーズに立ち回れるように、手はずを整えてくれたと聞いていた。

 縦じまのユニホームを着た同世代の仲間の死。本当に寂しくて、悲しい。

https://hochi.news/articles/20200503-OHT1T50216.html