https://news.j-wave.fm/news/2020/04/post-5702.html

前略

■芸術活動をやめることは、社会全体の損失にもなる
もちろん、お金の問題だけではない。芸術活動が途絶えてしまうことは、演劇界にとって、そして社会にとって大きな損失だ。

平田:3月、4月に公演をやるはずだった作品の中に、歴史に残るような名作があったかもしれません。あるいは、若手にとっては、たとえば今回初めて大きな劇場に進出とか、ステップアップの機会だった人もいるわけです。それが中止になると、その人たちは演劇界をやめてしまうかもしれない。それは演劇界の損失だけではなく、社会全体の損失になるわけです。もしかしたら、そのなかに、明日の野田秀樹さんや三谷幸喜さんがいるかもしれないのですから。
中略

■「演劇は好きでやっているのに、国に支援を頼むものなのか?」と問う人へ

青木は「あえて挑発的な物言いをすれば」と前置きしつつ、「演劇は好きでやっているのに、国に支援を頼むものなのか?」という考え方も一方ではある、と尋ねた。

平田:私たちは貧乏だから国に文化支援をしてくれと言っているわけではありません。憲法で守られた国民の文化を享受する権利を守るために、私たちはそのコンテンツを提供しているわけです。普通、国が学校の先生を支援しているとか助成金を出しているとは言いませんよね。それは教育を受ける権利を守るために教員というスペシャリストが社会にとって必要だと認めているからです。

平田によると、フランスには、芸術家を守る独自の保障制度がある。「アンテルミッタン・デュ・スペクタクル(非常勤芸能従事労働者)」というもので、職業ごとに設定された年間の時間数を超えて働くと、働いていない月も手当が受けられる。フランス政府として、才能のある人間が経済的な理由で他のジャンルやビジネスに行ってしまうと、国家にとって損失であるというコンセンサスがあるからだ。

平田:もちろん、ヨーロッパでも文化予算は切られやすいし、その議論はあります。ただ、基本的な政治家たちのコンセンサスとしてどうしても(文化を)守っていかないといけないという考えがあるのです。
青木:平田さんのブログにもあるように、芸術家に支援してくれと国家にお願いしているわけではなく、支援をしないと我々が楽しむいろんな舞台やアート、音楽などのコンテンツがなくなってしまうと。
平田:たとえば、今は特にミニシアター系の映画館が苦境に陥り、このままいけばつぶれてしまいます。先日、ベルリンの副市長とお話をさせていただいたとき、彼は「ウイルスを全て殺したとしても、それで文化を殺してしまっていたら、ウイルスと戦った意味がない」と言っていました。少なくとも施設を継続させていくことが大事になると思います。

演劇、音楽、映画、それぞれの分野で支援を求める動きが広がっている。ライヴハウスやクラブをはじめとした文化施設が休業するための助成金交付を求める署名運動「#SaveOurSpace」では、30万2500人余りの署名が集まった。映画界でも、「SAVE THE CINEMA 『ミニシアターを救え!』プロジェクト」がスタートしている。

青木:この状況下においても、映画などの芸術を必死に支えておかないと、それ自体を楽しめなくなりますよね。
平田:芸術活動をやめてしまうと、その影響が10年後、20年後にボディーブローのように効いて、育つ才能が育たなくなってしまいます。
青木:国際的にみて日本は社会が芸術を財産として育てようとか支援しようというシステムや風潮が薄いですか?
平田:日本は伝統芸能やアニメ、映画など素晴らしい芸術があり、世界において文化大国だと思っています。ただ、日本と日本人は自分たちの文化や言葉を奪われた経験がない、とても幸せな民族です。それがあることが当たり前だから、すべて民間セクターに任せてきたんです。日本は1億2,000万人の豊かな市場があるので、そこに任せていてもある程度はやってこられた。しかし、その間に国際競争力を失い、せっかくのいい素材があってもどうアピールしていくか、どうやって国際マーケットにのせていくかが非常に弱い。そういった状況で今回の新型コロナウイルスの問題が来てしまったということですね。

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★1が立った日時:2020/04/15(水) 01:36:10.93

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【劇作家】平田オリザ、演劇界は「貧乏だから支援してほしい」のではない。芸術を失うことが社会的な損失になる理由 ★2
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