2008年北京大会以来となる五輪を迎えるはずだった野球とソフトボールの実施は来年までお預けとなった。

日本や米国では人気の両競技も世界規模で見れば競技人口は多いとは言えず、五輪は格好のアピールの舞台だったが、持ち越しに。各球団が侍ジャパンに代表選手を送り込むプロ野球は、東京五輪の期間を挟んで公式戦を約3週間中断する日程を組んでいた。来年の五輪実施時期は未定だが、再びプロ野球は変則日程を余儀なくされそうだ。

 野球日本代表「侍ジャパン」は昨秋のプレミア12で初優勝。日本が世界の頂点に立ったのは09年ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)以来10年ぶりだった。稲葉篤紀監督は「これを五輪につなげたい。国民の期待は非常に大きい」と本番に目を向けた。

 ある球界関係者は「五輪の影響力はWBCの比ではない」と言う。WBCは米大リーグの選手も出場し「真の世界一」をうたうが、本腰を入れて臨むのは野球が盛んな国に限られる。だが、五輪は野球人気が高くない欧州など全世界にテレビ放送されるため振興、普及の効果が違うと指摘する。

 日本でも少子化などの影響で野球の競技人口は減少傾向。東京五輪での野球・ソフトボール復活に尽力した王貞治ソフトバンク球団会長は「五輪は世界に野球の面白さを伝える大会」と意義を語り、宇津木妙子日本ソフトボール協会副会長は「夢として五輪を目指している子どもが多い。あるのとないのとでは全然違う」と話す。

 北京大会のソフトボールは日本の金メダル獲得で国内に盛り上がりを生んだが、12年ロンドン大会から除外されブームは下火になった。オールプロ選手で臨んだ野球は北京ではメダルさえ逃して4位。当時、外野手として出場していた稲葉監督は「五輪の借りは五輪でしか返せない」と強い思いを吐露し、ソフトボール日本代表の宇津木麗華監督は「東京五輪はわれわれの人生。何があっても全力で向かっていく」と決意を語っていたが、悲願へ向けた思いは来年まで宙に浮いた。

3/25(水) 13:27配信
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