世界的な新型コロナウイルスの感染拡大により、開幕まですでに5カ月を切っている東京五輪の
開催を危ぶむ声が国内外で高まっている。この日は強い影響力を持つトランプ米大統領が1年の延期に言及。波紋が広がった。予定通りの開催か、無観客開催、1年もしくは2年の延期か、それとも中止か。それぞれの問題点をまとめた。

 ◆通常開催

 世界保健機関(WHO)によりパンデミック(世界的大流行)が宣言された今、7月24日の開幕までに、新型コロナウイルスが終息している可能性は極めて薄い。仮に日本が小康状態となったとしても、現在急拡大している欧州、米国から、そしてこれから季節が逆転し、感染が進むとみられるアフリカ、南米などからの選手、関係者、観客をすべて受け入れられるか。

 すでに2〜4月に予定されていた五輪予選やポイント対象大会に中止、延期が続出。公正な代表選考と、本大会に向けた調整が難しい状況に追い込まれている競技が多数ある。

 ◆無観客開催

 感染リスクは通常開催よりも大きく減る。IOCは放送局からの放映権料を受け取れる一方で、組織委は約900億円の大きな収入源であるチケット収入を失うことになる。ガラガラのスタジアムでの盛り上がりに欠ける大会となる可能性もあるだけに、スポンサー企業が敬遠する可能性も。

 ◆1年の延期

 20年までで契約している会場をあと1年確保できるかどうか。さらに維持費、人件費を含め、大会開催経費は大きく膨らむと見られる。

 2021年には花形競技である陸上の世界選手権が8月6日〜15日に米オレゴン州で、水泳の世界選手権が7月16日〜8月1日で福岡市でそれぞれ予定されており、難しい調整を強いられる。

 今年の7月にピークを合わせて調整する選手は、プランの練り直しを強いられる。また、代表選考をやり直すかどうかの議論も勃発する可能性は高い。すでに内定を得ている選手達の扱いをどうするか。取り消しとなれば、仲裁裁判所への提訴するケースも多発すると見られる。

 ◆2年の延期

 1年の場合よりも、大会開催経費は膨らむ一方で、夏の他の国際大会との調整は、比較的スムーズに進むと見られる。ただ、2022年は2月に北京冬季五輪があり、11月にはカタールでのサッカーW杯が開幕予定と、大型イベントが1年に集中することになる。

 選手の力関係も大きく変わる可能性が高く、より選考の面では難しさを増す。20年にピークを合わせている選手にとっては酷な選択となる。

 ◆中止

 IOCは多額の放映権料が入らず、開催都市契約により、IOCが中止を判断した場合でも、日本側は補償や損害賠償を求める権利は放棄することが規定されている。

 組織委員会の発表によると、大会経費は1兆3500億円(組織委6030億円、東京都5970億円、国1500億円)。多くの選手達は人生を懸けてきた目標を失うことになる。日本経済やスポーツ界に与えるダメージは計り知れない。


コロナ禍の東京五輪 通常開催か延期か それとも中止か…それぞれの問題点
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200313-00000160-dal-spo