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なでしこジャパン(日本女子代表)は現地5日、シービリーブスカップ2020の初戦に臨みスペイン女子代表に1-3で敗れた。チームとしての総合力で圧倒された90分間。これまで見過ごされてきた日本の課題が全て浮き彫りになった。東京五輪でのメダル獲得に向けて危機的な状況だ。(文:舩木渉)

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●疑問残る遠藤純の起用法

 なでしこジャパンにとって、昨年のFIFA女子ワールドカップが終わってから初めての敗戦だった。

 アメリカ・フロリダ州オーランドで現地5日に行われたシービリーブスカップの初戦で、高倉麻子監督率いる日本女子代表はスペイン女子代表に1-3の完敗を喫した。

 ワールドカップのラウンド16でオランダに敗れてから、なでしこジャパンは国際親善試合でカナダと南アフリカに勝利し、昨年12月のEAFF E-1サッカー選手権でも中国や韓国を破って優勝。だが、スペインには全く歯が立たなかった。

 勝っていたことで何となく見逃されていた課題は、全てスペインによって白日の下に晒されたと言っていいだろう。彼女たちは東京五輪出場権こそ持っていないが、欧州でもイングランドやフランス、ドイツといった強豪に並びつつある新興国。

 日本が世界の頂点に立ったのはもう9年も前のことで、今のなでしこジャパンはハッキリ言って弱い。自国開催の東京五輪におけるメダル獲得は、かなり厳しいと言わざるをえないだろう。世界と対峙するにあたって、攻守ともにチームとして最低限携えておくべき要素すら欠けているように見えた。

 序盤からスペインにボールを支配され、攻守の切り替えでも圧倒された。そして8分にあっさりと先制点を奪われる。強かな相手は、日本のどこを突けば崩すことができるかを知っていた。

 センターバックのアンドレア・ペレイラが最前線まで一気に縦パスを入れると、中盤からやや飛び出していたアレクシア・プテジャスがワンタッチで右に流す。そしてサイドに1対1ができると、右ウィングのマルタ・カルドナが一気にスピードを上げ、対面する遠藤純をフィジカルで振り切って並走していたFWジェニファー・エルモソに折り返した。

 最後は背番号10の長身ストライカーが左に流し、起点になったプテジャスが詰めてゴールネットを揺らした。日本としては人数も揃っていたにもかかわらず、これほどまでにあっさりと崩されての失点は屈辱以外の何物でもない。

 この1失点目の場面に限らず、なでしこジャパンは前線からのプレッシングに連動性がなく後手に回り、試合の中で起こりうるシチュエーションを想定した守備の約束事も共有しきれていなかったように見えた。

 また、所属クラブではウィングとして活躍し、守備が苦手な遠藤を左サイドバックで起用にこだわり続ける高倉監督の采配にも疑問が残る。EAFF E-1サッカー選手権では何とかごまかせていたかもしれないが、欧米の強豪は“穴”を見逃してはくれない。明らかにプレーに迷いが見られる若手を、苦手なポジションに配置した指揮官の責任は問われるべきだ

3/6(金) 12:23 フットボールチャンネル
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