安倍晋三首相が2月27日の夕方に表明した全国の学校に対する臨時休校の要請は、あまりに突然であり、多くの人々に衝撃を与えた。
このニュースはほぼ同時に中国でも報道されたが、ネットやSNS上のコメントを見ると、ほぼ100%と言っていいほど賛同と理解を示す意見で占められている。

なぜ、中国人はこれほどの理解を示すのか。その理由や背景について解説する。

2月27日の夕方、安倍晋三首相は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、3月2日の月曜日から全国の小学校・中学校
高校・特別支援学校を臨時休校にするよう要請した。

このニュースが日本で流れるとほぼ同時に中国の各主要メディアは一斉に報じ、SNSなどで拡散された。
そして1時間もたたないうちに、SNSやネットメディアのコメント欄はたちまち数多くの発言であふれた。

「英断だ!安倍首相がやっと決断できたね!」

「3月2日から?どうしてすぐ明日からでないの?」

「日本もわが国のまねをしたねー。これは正しい判断だ!」

「もっと早く踏み込んでもよかったが、今からでも遅くない!」

「この判断は、ウイルスの感染拡大を食い止めるには、まるで恵みの雨だ!」

「これこそ、責任を負う決断だ!」

「早くそうしないと、東京オリンピックは本当に泡と消えるぞ」

「もし、学校が続く中で集団感染や家族への感染となったら、政府のせいにされ、それこそ安倍首相が辞任に追い詰められるだろう」
などなど。

これらのコメントをざっと眺めて、多くの日本人は驚くに違いない。

発言は、ほぼ100%と言っていいほど賛同と理解を示す意見で占められているからだ。反対する意見や批判の声はほとんど見られない。

日本では、このニュースについては賛否両論。むしろ「場当たり的だ」「病院の看護師が子どもの面倒をみるために休み、結果的に医療崩壊を招く」
「共働きの家庭に大きな負荷がかかり、社会を崩壊させる」「政権維持を優先した政治判断」などといった非難の声が目立っている印象がある。

そうした声を見越したかのように中国のSNSでは、

「良い決断だが、日本のマスコミはまた政府を批判し、大騒ぎになるだろう…。日本政府は所詮、どんな政策を下しても、結局たたかれるから…」
などのような発言さえあった。

一時期の険悪な日中関係からは、とても想像できない発言ばかりである。

なぜ、中国の人々は日本の学校休校のニュースに大きな反応をし、称賛と理解を示す声が多いのか。その理由は2つある。

まず、中国では長年の一人っ子政策の影響で一人っ子がほとんどである。子どもはその家の「すべて」であり、
どんなことがあっても子どもを最優先に考える傾向がある。ゆえに「子どもを守るため」という安倍首相のとてもシンプルな主張に、多くの中国の親たちが理解を示したのだ。

実際、日本をよく知る中国人からは下記のようなコメントがある。

「学校は学生で密集する場所であるため、1人でも感染したらすぐ集団感染になるだろう。
そして、中国と違って、日本の学生は電車での通学が多いため、学校と公共交通機関でダブルリスクを負う。そう考えると、自宅にいたほう間違いなく安全安心だ」
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200229-00230370-diamond-cn