全国で個人視聴率を調査すると発表したビデオリサーチ
視聴率調査を担ってきたビデオリサーチ社が、2月6日付でニュースリリースを出した。

「視聴率調査、変わります〜2020年3月30日より大幅リニューアル〜」

「視聴率調査が変わる」とある。どう変わるのか、細かく説明してあるが一般の方にはなかなかわかりにくいと思う。重要なポイントは「全国で個人視聴率調査を始める」ことにある。

これまで例えば「NHKの新大河ドラマ、19.1%で好スタート!」という時の視聴率は世帯視聴率だった。それも関東の数字。3月30日からは、日本全国の個人視聴率を毎日出せるようになる、ということだ。実は視聴率調査は地区によってやり方が異なっていたのだ。

世帯視聴率と個人視聴率はどう違うのだろう。世帯視聴率は世帯、つまり家ごとの数値。一方個人視聴率は、人数がベースになる。

例えば下の図を見てもらおう。
https://rpr.c.yimg.jp/im_siggCV59ijF7O6p4hU5dVmqz1Q---x800-n1/amd/20200207-00162021-roupeiro-001-14-view.jpg

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全国で個人視聴率を調査すると発表したビデオリサーチ
視聴率調査を担ってきたビデオリサーチ社が、2月6日付でニュースリリースを出した。

「視聴率調査、変わります〜2020年3月30日より大幅リニューアル〜」

「視聴率調査が変わる」とある。どう変わるのか、細かく説明してあるが一般の方にはなかなかわかりにくいと思う。重要なポイントは「全国で個人視聴率調査を始める」ことにある。

これまで例えば「NHKの新大河ドラマ、19.1%で好スタート!」という時の視聴率は世帯視聴率だった。それも関東の数字。3月30日からは、日本全国の個人視聴率を毎日出せるようになる、ということだ。実は視聴率調査は地区によってやり方が異なっていたのだ。

世帯視聴率と個人視聴率はどう違うのだろう。世帯視聴率は世帯、つまり家ごとの数値。一方個人視聴率は、人数がベースになる。

例えば下の図を見てもらおう。

図は筆者作成
このモデルでは10世帯あってある番組を半分の5世帯が見ている。世帯視聴率はそれを元に計算し、50%ということになる。人数は25人いて、その中で7人が見ている。計算すると、個人視聴率は28%になる。

このように何世帯が見ていたかが世帯視聴率で、何人見ていたかが個人視聴率だ。このモデルで明らかなように、往々にして世帯視聴率に比べて個人視聴率の方が低くなる。

また、人数が少ない世帯と人数が多い世帯で数字が違ってくる。もう一つ、図を見てもらいたい。

https://rpr.c.yimg.jp/im_siggvsZtyASnsHfwwKnAN_RsEw---x800-n1/amd/20200207-00162021-roupeiro-002-14-view.jpg

さっきとまったく同じモデルで、これも世帯視聴率は50%だ。だが個人視聴率は25人中11人で44%になる。世帯視聴率が同じでも、個人視聴率はまったく違うのだ。これは人数が少ない世帯中心に見られる番組と、多い世帯中心で見られる番組とで違ってくる、ということ。人数が少ない世帯とは子どもが巣立った高齢夫婦の世帯や、独身者の世帯。多い世帯は子どもと親が一緒に住む家族世帯が中心だろう。

世帯視聴率は数が多い高齢者の世帯に見られると高く出やすいのに対し、個人視聴率は家族世帯を対象にした方が高く出やすい。

また個人視聴率調査は見る人の属性もわかるので、いわゆるF1とかM3とか、性年齢別の視聴の様子もわかる。これまでも大都市圏では個人視聴率調査をやっていたが、それが全国に広がると日本全体でのF1やM3などの視聴が把握できる。

個人視聴率が全国でわかるようになると、「日本中で見た人数」が出せるようになる。サッカー日本代表の大事な試合などで翌日「視聴率42.3%!」などと報じられると「日本人の42%だから1億2千万人の4割強で5千万人くらいか、すげえなあ」などと頭の中で計算していたと思うが、それは実は違うのだ。世帯視聴率を人数に換算するのは誤りで、個人視聴率が出ればそれを該当する人口とかければ「見た人の数」が推計できる。さらに、日本中の若い女性(=F1層、20〜34歳女性)が何人見たかも推計できるようになるはずだ。

このように、個人視聴率を全国で調査することで、これまでよりかなり緻密なテレビ番組視聴の実態がわかるようになるだろう。

つづく

境治 | コピーライター/メディアコンサルタント
2/7(金) 9:26
https://news.yahoo.co.jp/byline/sakaiosamu/20200207-00162021/