東京五輪の放映種目の決定プロセスは、例年より大幅に遅れている。
その理由は「NHKが地上波、BS波に加えてネットでも生中継したいと強硬に主張したから」(別の民放関係者)。

複数の関係者によれば、NHKは民放が生中継している映像を「そのままネットでも使いたい」と要求したが、
民放各局はもちろん強く抵抗。いまだ綱引きが続いているという。

1976年モントリオール大会では、放映権料の90%近くをNHKが払ってきたが、
2006年冬季トリノ大会以降は民放各局の負担率も30%まで増えた。

両者のあつれきといえば、もはや定番といえるのがアナウンサーの“乗り合い事故”だ。

五輪期間中は他局の電波に乗せて実況することもあるが、「これまでの大会では何らかのトラブルが必ず起きています。
NHKのアナが慣れないCMの入れ方でミスしたり」(前出関係者)。

その一因は「五輪やW杯などでは民放の場合、ディレクターが適性を見てアナウンサーの派遣や抜擢を決めます。
でもNHKではそうはいかない。アナウンサーの方が主張が強いからです」(同)。

目前に迫った東京五輪でも、“ONE TEAM”になれる状況にはほど遠いという。


【メダルラッシュでも赤字必至】


東京五輪の日本向け放映権は、2018年の平昌冬季大会とのセット売りで、その総額は過去最高の660億円。
ただ、黒字の見通しは全く立たないという。

民放関係者は「金メダルラッシュになってもまず、黒字にはならないでしょうね」と嘆き節。

事実、平昌では5億円、サッカーW杯ロシア大会ではなんと40億円超の大赤字を出した。

そもそも米テレビ局が14年ソチ冬季大会から10大会分の放映権を、120億ドル(約1兆3000億円)というべらぼうな額で取得。
そのあおりで日本も割に合わない額を払わされている。

それでも米側の発言力は絶対的で、真夏の東京で五輪が強行されたあげく、マラソンは札幌に変更される羽目となった。

ただ、民放各局が一喜一憂させられてきた数字にも、東京五輪をきっかけに変化の兆しが。
従来の「世帯視聴率」だけでなく、より精度の高い「全国視聴人数」が出てくる初めての五輪だ。

数値に見合った“適正価格”を訴えることで、青天井の放映権料にくさびが打たれる可能性が高い。
http://www.zakzak.co.jp/spo/news/200111/spn2001110001-n2.html