最盛期の半分まで視聴率が落ち込んだとはいえ、紅白歌合戦が今も国民的人気番組であることに異論のある人はいないだろう。お茶の間のみなさんが、紅白歌合戦に期待するものとは一体何か。(取材・文/フリーライター 鎌田和歌)

 記録が残っている限りで最もNHK紅白歌合戦の視聴率が高かったのは1963(昭和38)年の81.4%。サブちゃんこと北島三郎さんが初出場した年らしい。テレビが最高のエンタメだった時代とはいえ、5世帯あったら4世帯は視聴とは、大変なお化け番組である。

 その後、同番組の視聴率は緩やかに下降。ここ10年ほどは40%前後を推移している。全盛期に比べたら半分とはいえ、なかなか他局が追いつけない国民的人気番組であることは間違いない。SNSやネット動画含め、多種多様なコンテンツが溢れる時代の中でもやはり別格だ。

 とはいえその一方で、「えっ、まだ紅白見てるの?」と言われることもある。筆者も、「紅白を見るタイプだとは思いませんでした」と仕事関係の知人から言われたことがある。一体どういうイメージなのか真意は不明だが、紅白から連想されるものはおそらく「保守的」「ファミリー感」「安定」などなのだろう。

 さてそれでは、毎年大晦日の夕方からは必ずNHK総合にチャンネルを合わせる人たちは、一体そこに何を求めているのだろうか。令和になって初めての紅白を前に聞いてみた。
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● 大みそかはやっぱり紅白 締めのアレも好き

 「20代のころは民放に浮気したこともあったが、結婚してからは紅白」と言うのはAさん(30代男性)。

 「一人暮らしだった独身時代は、大みそかは友人たちと鍋を囲むのが恒例でした。男ばかりで集まると、格闘技やお笑い番組にチャンネルを合わせがち。実際、テレビはBGMのようなものなので、何でもいいっていうのもありますが。

 結婚して夫婦2人で年越しを過ごすようになってからは、夕方までに食事の準備をして、紅白が始まるのを待つようになりました。民放も面白いんだけど、一番しっくり来るのが紅白。あと、歌合戦が終わって、場面がぱっと切り替わって鐘の音がご〜〜んと鳴るシーンがいいですよね。あの瞬間はNHKにしかない(笑)。

 子どもが生まれたらゆっくりテレビを見ている暇もないだろうし、また見たいものも変わるかもしれませんが、今のところは紅白です」

 紅白が終わったあと、ゆく年くる年までセットで見るか、ジャニーズカウントダウンライブに切り替えるか、はたまた……。ここは紅白を見る家庭の中でも意見が割れそうなところだ。とりあえず「ご〜〜ん」を聞きたい気持ちはとてもわかる。

● 豪華出演陣、ひしめくスタッフ ライブの緊張感がたまらない

 「生放送の緊張感が好き」と話すのはBさん(30代女性)。

 「出演者はもちろん、バックダンサーやスタッフの数が半端ないのが紅白。いろんな番狂わせもあると思うんですが絶対に時間内に終わらせないといけないから緊張感がみなぎっているところがいい!

 司会がアナウンスを間違えてしまったら『頑張れ!』と思うし、映らないはずのスタッフが映り込んでしまうような場面も、それはそれで面白いです。よく見てると、『きっと今、あと何秒かつないでって指示が出たんだろうな』と気づいたりして。

 最近だとツイッターのハッシュタグで、番組を見ながら他の人の感想を見るのも楽しいですよね。歌はもちろん楽しいけど、それ以上に人を見てほっこりするのが紅白だなあって思います」

 筆者の子ども時代に比べると、歌以外の余興や仕掛けが増えたと感じる。演歌歌手の後ろでアイドルグループが踊るのも定番となった。世代の異なる視聴者を同時に楽しませる趣向だが、たしかに見てしまう。

以下ソース先で

12/27(金) 6:01
ダイヤモンド・オンライン
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191227-00224117-diamond-soci