2019-12-20

 所属球団から戦力外通告を受けたプロ野球選手たちに密着したTBS系ドキュメンタリー『プロ野球戦力外通告 クビを宣告された男たち』。通算16回目を迎える今年も12月30日に放送される。再起に向け奮闘する選手の姿とそれを支える家族の物語が丁寧に描かれ、人気を博している同番組の取材の裏側を、番組を立ち上げたTBSテレビ スポーツ局 スポーツ番組制作部長・菊野浩樹氏と、現番組プロデューサー・後藤隆二氏が明かしてくれた。




スポーツドキュメンタリー番組の企画の1つからスタート

 第1弾が放送されたのは、1999年。スポーツドキュメンタリー番組『ZONE』の中の一企画として取り上げたのが始まりだった。企画立案のきっかけを菊野氏は、こう振り返る。
「野球が大好きだった僕は、その年に引退した野球選手を取り上げた新聞記事『惜別球人』が楽しみで、読んではいろいろと想像を膨らませていました。そんな中、アスリートの悲哀を綴った永沢光雄さんのスポーツ・ノンフィクション『強くて淋しい男たち』を読んで触発され、クビになった野球選手のその後の戦いを描く番組を作りたいと考えたんです」

 第1弾では、日本ハムから戦力外通告を受けた、かつて日本シリーズMVPや沢村賞にも輝いた石井丈裕選手に密着取材。石井選手が苦悩しながらも現役続行を希望し、台湾球界に移籍するまでを描いた番組は大きな反響を呼び、以降、定期的に特集が組まれ、毎回、高視聴率をマーク。『ZONE』終了後の2004年からは特番化され、12年には深夜枠からゴールデンタイムへ移行し、野球ファン以外の視聴者からも熱い支持を受け、年末恒例の人気特番として定着していった。

 こうした支持の裏にあるのは、プロ野球という華やかな世界から一転、人生の岐路に立った一人の人間と真摯に向き合い、丁寧に取材していくスタッフのポリシー。それが最もわかるのが、番組の山場であるトライアウト(※)の結果を知らせる電話がかかってくる場面。トライアウトが終わってから5日間、いつかかってくるかもわからない電話を待っている姿をカメラは1日中、とらえ続ける。本人はもちろん家族からも信頼される人間関係を築けていなければ、そんな緊迫した時間を共有させてもらえることはできはしない。

     ===== 後略 =====
全文は下記URLで

https://www.oricon.co.jp/confidence/special/54085/