(続き3)
引退後に選手たちを待ち受ける現実はかなり厳しい。
NPBが15年に発表したデータによると、14年に引退もしくは戦力外通告を受けた
130人のうち、野球に関わる仕事に就いたのは91人、一般企業に就職したのは17人、
進路未定者は22人であった。

コーチの職は突然契約が切られてしまうこともあるため安定した仕事ではない。
実際、前述の高野はそれを苦に自死へと向かってしまっている。
また、解説者の仕事は元から有名選手以外は得ることのできない狭き門だが、
地上波からBSやCSにプロ野球中継が移ったいま、ギャラが激減。
稼ぐことが難しい商売になってしまった。

15年11月23日に放送された『ビートたけしのTVタックル』(テレビ朝日)では、
元木大介が「大卒は有利。大学という繋がりで仕事がある」と語り「高卒というのは、
本当に仕事が無いです」とも語り、元プロ野球選手のセカンドキャリアの難しさを
指摘している。先のNPBのデータで130人中、一般企業に就職したのがたった
17人だけであるという数字がそれを物語っている。
プロ野球OBを野球部に迎え入れたい、またはその余裕のある学校というのも少なく、
セカンドキャリア対策の抜本的な策とはなり得ていない。

清原の逮捕は、昨年末の野球賭博事件で改めて浮き彫りになった球界の倫理教育
徹底の必要性を再認識させるとともに、問題が指摘され続けているプロ野球OBのセカンドキャリア対策の必要性も再度
人々に認識させるものとなった。この問題を早急にクリアさせなければ、清原をはじめ
本稿に登場したような選手は、今後も増え続けてしまうだろう。(井川健二)