全国最大の指定暴力団である山口組が毎年10月31日のハロウィーンに合わせ、総本部(神戸市灘区)で菓子を配っていた行事が、今年は実施されなかった。兵庫県警が10月11日に総本部の使用を制限する仮命令を出し、組員の集合などを目的とした施設の使用が禁じられているため見送ったとみられる。

 例年は組員らが総本部のシャッターを開け、近隣住民らを敷地内に招いて菓子を無料配布している。参加住民が年々増える中、今年は神戸市教育委員会が、近隣の小中学生と保護者に、暴力団と接点を持たないよう文書などで呼び掛けていた。

 山口組を巡っては10月10日、同組系組員が神戸市中央区の路上で、対立する指定暴力団「神戸山口組」系の組員2人を射殺する事件が発生。住民の安全確保のため県警は翌11日、両組の本部事務所などを対象に使用制限の仮命令を出した。両組の抗争が終結しない限り、使用制限は継続される見込みだ。

 一方、直系組長が毎月集う「定例会」などは今後、総本部から会場を変えて開かれる可能性があり、県警が情報収集に当たっている。