台風19号の影響で冠水したサッカーJ1湘南ベルマーレの練習拠点、馬入ふれあい公園サッカー場(平塚市)で、重機を使った懸命の復旧作業が続けられている。
相模川から大量の堆積物が流れ込んだピッチは「過去最悪の状態」(クラブ関係者)。
J1残留を懸けたリーグ戦が最終盤を迎える中、所有者の平塚市も本格的な支援に乗り出した

河川敷に2面あるサッカーコートは、冠水から約2週間たった今も泥などに覆われたまま。
一部に緑も見えるが、作業員の亀井和也さん(44)は、ため息交じりに言う。
「あれは泥を貫いて芝が生えてきた部分。あの下も泥まみれ」。
荷台に堆積物を積んだトラックが行き交い、除去作業を見詰める市内在住のサポーター、岩崎律子さん(53)は「できることがあれば手伝いたいけど…」と途方に暮れた。

 これまでも風水害にさらされながら、有志のサポーターらがスコップなどでかき出し難局を乗り越えてきた。

だが、クラブの指定管理統括マネジャー関野敏樹氏(44)は「今回は人手で解決できる規模じゃない」と頭を抱える。
視察した職員が膝元まで泥につかり、助けを呼ぼうか、というほど状況は深刻だった。

Jリーグのシーズン終了が12月上旬に迫る中、市も復旧費用を負担。2面のうち1面に絞って重機で作業を進めている。
ただ、天然芝の保護のためパワーショベルによる掘削はできない。固まった泥を水で溶かし、アーム型の重機で挟んだ角材をとんぼのように地面にはわせて押し流す。
21日に始まった地道な作業は11月上旬に終了予定で、亀井さんは「この泥の多さは今までにない。千立方メートルはある」と汗を拭った。

 市総合公園課によると、流れ込んだ泥などの堆積物は産業廃棄物に当たるため、処理には「莫大(ばくだい)な費用がかかる」(小嶋賢司課長)という。市財政課の試算では、復旧費用は1億円を超える見通しだ。

 泥の撤去が終わっても、冬用の芝の種を再びまき直す必要がある。関野さんは「シーズン中に復旧させたいが現状は厳しい」。選手は本拠地のShonanBMWスタジアム平塚を借りて練習する日々。使用頻度が高いとスタジアムの芝も傷むが、小嶋課長は「市とベルマーレは支え合ってきた。背に腹は代えられない」と全面的にサポートする。

 ベルマーレは現在18チーム中16位。下位2チームがJ2に自動降格する。作業に当たる亀井さんは平塚市出身で「監督が交代して、J1残留に向けてチームも踏ん張り時。少しでも力になりたい」と思いを込めた。

10/28(月) 5:00配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191028-00000004-kana-socc

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