◆巨人8―5広島(30日・東京ドーム)

原巨人で打撃コーチやバッテリーコーチを歴任した村田真一氏(55)=スポーツ報知評論家=が、監督・原辰徳の魅力を語った。

秀吉タイプ 監督とコーチの関係で12年も一緒にいたから、原監督のことは誰よりも知っているつもりです。みなさん、原監督にどんなイメージを持っていますか?

「さわやか若大将」。ほとんどの人がそう答えるでしょう。その通り。普段は「優しいお兄さん」です。
ところがユニホームを着ると人間が変わる。
目をむいて、顔を真っ赤にして“鬼”になる。ベンチで何度どなられたか。
相手投手に抑えられ、安打も出ない時など「お前の指導が悪いからだ!」と、選手の前で怒られたこともあった。

戦国武将に例えるなら「泣かぬなら、泣かせてみせよう」の豊臣秀吉。
「点が取れないなら、こちらから動いて点を取りに行こう」。
選手の調子が悪い時にはベンチ主導で積極的に動かしていく。
バリバリの4番だった阿部にエンドランのサインを出したこともあった。監督はその理由を教えてくれた。
「最近の慎之助は打つ時に上を向いてあおって打っている。エンドランのサインが出れば、ライナーを打とうとするだろう」

ヘッドコーチ時代、私が考えたスタメンを出すと、監督はいつも「根拠は?」と聞いてきた。
データ、相手投手との相性、調子などで決めるのだが、そのために勉強もした。今振り返ればコーチを教育するためだったのだろう。

セオリーを度外視した攻撃をする時があるのは、セオリーをよく知っているからだ。
一見ギャンブルのように見えるサインは、相手が「ない」と思っていることをやるのだから、成功する確率は高い。
昔なら、02年の横浜戦で代打・桑田にやらせたバスター。
最近なら7月3日の中日戦、9回若林の初球二盗、8日の阪神戦の8回、岡本に代走・増田大を送り、初球三盗。相手の虚を突く作戦が当たった。
仮に裏目に出たとしても、常に口にしていたのは「エンドランでボール球が来て失敗しても、何かが変わる。
失敗したら、俺が責任を取ればいいんだ」。

長嶋さんから教えられた「迷ったら前へ」「五分五分ならゴー」の積極性と、父・貢さんから受け継いだ勝負勘に「タツノリ色の采配」を加えて、原さんは名監督の系譜を継いでいく。

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7/31(水) 7:03配信