◆女子プロゴルフツアー サマンサタバサレディース
 首位と2打差の2位からスタートした北海道出身の美人プロ小祝さくら(21)=ニトリ=が7バーディー、ボギーなしの65で回り、
大会新記録の通算17アンダーでツアー初優勝を逆転で飾った。1998年度生まれの「黄金世代」では8人目の優勝者。
常に冷静は21歳は待望の初Vにも涙なし。「皆さん、お疲れサマンサ」優勝スピーチでは大会名をかけたダジャレでギャラリーを沸かせた。
1打差の2位は韓国のイ・ミニョン(27)=Qセルズ=。7打差の3位は成田美寿々(26)=オンワードホールディングス=と三ケ島かな(23)=ランテック=。
元プロレスラー木戸修さん(69)の長女・愛(29)=ゼンリン=は5位、プロ野球ソフトバンク工藤公康監督(56)の長女・遥加(26)=セガサミーホールディングス=は13位だった。

 “ほんわかムード”が持ち味の小祝は、ヒリヒリするような優勝争いでも常にマイペースだった。
今季1勝&通算4勝の実力者イ・ミニョンと壮絶なスコアの伸ばし合い。
10番で首位に立った小祝はそのままリードを守って最終18番に突入。
ショット、パットともに最後まで乱れることはなかった。10センチのウイニングパットを沈めた小祝は涙もガッツポーズも見せることもなく、 照れ笑いするだけだった。

 「涙、出ませんでしたね。ウルッともしませんでした」

 感動、歓喜、興奮が渦巻く中で、道産子美人プロは、普段と変わらない柔らかな笑みをたたえながら人ごとのように話した。
優勝スピーチ、優勝インタビューでも“小祝ワールド”満開だった。

 「皆さん、お疲れサマンサ」。優勝スピーチの第一声で大ギャラリー沸かせた。
 優勝インタビューでも珍発言を連発した。

 ―優勝を決めた瞬間、いつも通りだった
 「ガッツポーズはどういうふうにやればいいか、分からなかったので」

 ―優勝の瞬間、人生で一番の喜びだった?
 「BTS(韓国の男性ヒップホップグループ)のライブで前から2列目の席が当たった時の方がうれしかったですね」

 ほんわかしたムードが持ち味だが、実は苦労人で、練習の虫。女手ひとつで育ててくれた母・ひとみさん(39)を助けるため、
中学卒業後は通信制の飛鳥未来高に進学し、ゴルフ場のキャディーマスター室でアルバイトをしながら腕を磨いた。
母に毎月3万円を渡し、残りはすべて貯金した。「お金がないから一発でプロテストに受かってほしい」という母の願い通りに17年、
1回目のプロテストで見事に合格した。
トッププロとなった今、ツアー屈指の練習熱心さで知られている。パットの練習は独特だ。
幅2センチ弱、長さ1メートル強、厚さ1ミリのアルミ板だ。くぼみがあるレール状のゴルフ専用練習器具ではない。
「普通にホームセンターで売られている板です。たぶん、1000円くらい」と小祝は笑顔で話す。
ボールを慎重に置かなければ、すぐに板の上からこぼれ落ちるほどの繊細さだ。もちろん、水平な場所に設置することが絶対条件。
「芯をとらえないと真っすぐいかない」。正確な順回転を生み出すためのシビアな練習で正確なストロークを身につけた。
ホテルにも持ち帰り、部屋でもボールを転がす日々を過ごし続ける。この日「勝因はパットですね」と笑顔で話した。

 正確なショット、安定したパットを誇る小祝の一番の持ち味は、ぶれないメンタル。
ゴルフというスポーツで最高の武器になる。「東京五輪、出たいですね。特別な試合ですから」と大きな目標をサラリと明かした。
日本女子ゴルフ界にニュータイプのヒロインが誕生した。
https://hochi.news/articles/20190721-OHT1T50227.html