皮肉にもスペインの名門レアル・マドリードへの移籍決定が、18歳MF久保建英の東京五輪出場を阻む障害となりそうだ。久保は南米選手権(ブラジル)で1次リーグC組のチリ戦(17日=日本時間18日)に先発しフル出場。18歳13日で日本代表の公式戦最年少出場記録を更新した。試合は0−4の惨敗だったが、90分間で26本のパスを通し、9本のドリブル突破を演じた久保の評価は急上昇。活躍すればするほど、レアルが来年の東京五輪派遣に難色を示す可能性は高くなる



 惨敗の中でも、18歳は紛れもなく日本代表の“主役”を務め、一筋の光明となった。前半11分、相手MFプルガルと対峙し、あっさり股を抜くと、そのままドリブルで驀進。これには普段辛口で鳴る各スペイン紙も“あっぱれ”を連発した。

 0−2で迎えた後半20分には、2人をかわして得意の左足でシュート。しかし外側からサイドネットを揺らすにとどまり、両手で地面をたたいて悔しがった。

 久保は試合後、「(ドリブルでは)何も考えず(相手を)すらすら抜ける」、「(シュートを)決めていれば、こっちの時間帯だった」と強気なコメントを並べた。

 森保一監督(50)も久保に関しては「相手の守備を混乱させるだけのプレーはした」と評価。久保だけはFIFA(国際サッカー連盟)ランキング28位の日本にあって、同16位の南米の雄チリに対して貫禄負けするところはなかった。

 久保が活躍すれば、移籍先のレアルの見る目の確かさが証明されることにもなる。

 今回、久保サイドが交渉した複数のビッグクラブのうち、古巣でもあるバルセロナは年俸25万ユーロ(約3000万円)、2年間Bチーム限定での出場を求めたのに対し、レアルは破格の年俸200万ユーロ(約2億4000万円)、Bチームでのプレーを最短で1年間にとどめることができる条件を提示。

 バルセロナでは、久保に提示した年俸3000万円がほぼBチームの選手の上限。レアルのBチームには5000万−6000万円の有望株も含まれているが、それにしても2億4000万円は破格、例外中の例外である。

 となると、レアルは久保の商品価値を高めるため、細部にわたって久保を拘束するのは必至。「問題は来年の東京五輪です」と日本協会関係者が眉をひそめる。

 FIFAが管轄するサッカー界ではあくまでW杯が最高峰で、五輪への選手派遣を各クラブに強制することはできない。特に近年、欧州のビッグクラブになるほど、五輪への選手派遣に消極的。国際オリンピック委員会(IOC)とFIFAには相いれない部分があり、IOC側にも「アマチュアの祭典である五輪に、べらぼうな年俸をもらっている選手が参加するのはいかがなものか」との批判的な考えが根強い。

2019.6.20 夕刊フジ
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