サッカーJ1浦和レッズの元選手で日本代表でも主力として活躍した鈴木啓太さん(37)が、自宅でも手軽に便から腸内細菌を検査できるキット「BENTRE(ベントレ)」を開発した。2015年の現役引退直後に「アスリート時代の経験を皆さんの健康に生かしたい」と起業、初の商品化を果たした。

 鈴木さんは静岡市清水区出身。東海大翔洋高から00年にレッズに入り、以来16年間レッズ一筋で、名ボランチとして活躍した。

 幼少期、調理師だった母親に「人間は腸が大事」と教え込まれて便を観察し続けた。高校時代から細菌のサプリメントを取り寄せ、プロ入り後は常に温かい食事や飲料を摂取するよう心掛けた。日本代表で海外に遠征した際には食事が合わず体調を崩す選手が出たが、そういうことはほとんどなく、安定したプレーにつながった。その経験から「肉体を使うアスリートに特化して腸内環境を調べたら面白いことが分かるのでは」と「AuB(オーブ)」(東京都中央区)を設立した。

 人脈を生かしてサッカー、陸上競技、バドミントンなどさまざまな競技の選手約500人、一般の人を加えると計2000人以上から提供してもらった便の検体を基に、大学教授らとの共同研究で細菌のDNAを抽出してデータベース化し、人工知能(AI)の機械学習で傾向を分析。その知見を生かした検査キットを商品開発した。

 キットで便の検体を送ると、5週間程度でリポートを返信。腸内の善玉菌と悪玉菌などの構成や、太りやすさ、免疫力などに与える影響を解析し、管理栄養士らの専門家が食生活や運動習慣についてアドバイスする。

 鈴木さんは「これを入り口にして、便が、個人個人の健康状態を測るパーソナルトレーナーになるプラットフォーム(基盤)を作りたい」と意気込む。

 サービスは1回3万240円。問い合わせはサイト(https://aub.bentre.jp/aub/)。【錦織祐一】

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190510-00000021-mai-soci