吉本興業が、教育に本格進出する。育むのは、普通の科目ではなく、子どもたちの創造力とコミュニケーション。

2019年4月21日、NTTグループと組み、教育関連のコンテンツを配信する「ラフアンドピースマザー」を立ち上げると発表した。

このプラットフォームには、官民ファンド「クールジャパン機構」が最大で100億円を段階的に出資するという。

吉本興業の大崎洋会長はこれまで、ネットフリックス(Netflix)やアマゾンプライムの動画配信サービスに対抗できる国産プラットフォームの立ち上げを模索してきた。「教育は、日本が世界に発信できる堂々たるコンテンツだ」と話す。

●当初は動画配信プラットフォームも模索

吉本興業は2016年6月、芥川賞を受賞したお笑い芸人のピース・又吉直樹さん原作のドラマ『火花』をネットフリックスで全世界に配信するなど、動画配信プラットフォームとの連携を強めてきた。

その一方で大崎会長は「日本のコンテンツを世界に送り出すプラットフォームが必要だ」として、国産プラットフォームの立ち上げを模索してきた。

しかし、国産プラットフォームを目指すうえでハードルになったのは、芸能界のしがらみだ。芸能事務所・吉本興業の立場で、日本のエンタメを幅広く集めたプラットフォームを本気でつくれば、摩擦が生じかねない。

大崎会長は「いままでお世話になって、これからもお世話になる放送局さんの足をひっぱることはできないなあと。でも、教育なら、どこともバッティングしない」と話す。

模索の中で浮上したのが、教育だった。

「吉本は教育の会社になる」

石戸氏と構想を話し合う中で、大崎会長は「吉本は教育の会社になる」と明言したという。

大崎会長は「クリエイティブな発想のできる子どもを育てる活動で実績を上げている。これはありやな、と。『これちょうだい』って石戸さんに言ったら、『いいですよ』って」と話す。

吉本興業は2018年からCANVASと組み、2019年3月には新宿にある東京本部でもワークショップコレクションを開いている。

石戸氏が理事長を務めるCANVASはNPO(非営利活動法人)だが、今回のプロジェクトでは、吉本興業の100%子会社として株式会社CANVASを立ち上げ、石戸氏が社長を務める。

NPOのCANVASで副理事長も務めている中村氏は「芸人さんに、子ども向けのワークショップをやってもらうと、ぴたっとはまる。ずっと、CANVASの世界と親和性が最高に高いのは、吉本だと思っていた」と言う。

小島寛明 [ジャーナリスト] Apr. 22, 2019, 05:15 AM

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