◆オリックス3―7日本ハム(18日・ほっともっと神戸)

 日本ハムの金子が移籍初勝利を挙げた。昨年まで14年間在籍したオリックスに5回を1安打無失点と好投し、今季初白星で12球団勝利も達成。
スポーツ報知に独占手記を寄せ、栗山監督への感謝や古巣への思いなどをつづった。

 うれしい気持ちと、複雑な気持ちと…。僕に勝ちをつけてくれたチームメートや、栗山監督には感謝の気持ちでいっぱいだ。日本ハムの一員になれて
良かったと、心から思っている。

 昨年オフにオリックスを自由契約になった。後悔しないように頑張ってきたつもりだが、年齢も35歳。現役生活も長くないだろう僕に
「優勝するために必要だ」と声をかけてくれたのが日本ハムだった。移籍というものに不安があったのも事実。ある時、栗山監督から電話を頂いた。

 「チヒロがどこでプレーしたいとかは、とりあえずいい。俺はチヒロと一緒にやりたい。一緒にやろう」。今思い返しても、心に響いてくる言葉だ。
あまりに突然のことだったし、ほとんど話したこともなかった。「チヒロ」と名前で呼ばれたことにまず、驚いた。

 後日、家族も一緒に食事をさせていただいた。僕の気持ちは固まっていたのかもしれない。「先発にこだわりはないので、どこでも使ってください」と
本心を伝えた。監督は驚いたような表情をしていた。顔を合わせてまた「チヒロと一緒にやりたいんだ」と言ってもらった。胸にスーッと入ってくる
感覚があった。その日の別れ際も、すごく近い距離で「来てくれてありがとうな」って…。イメージしていた以上に、熱い監督なんだと実感した。

 日本ハムの投手では僕が最年長。キャンプ中はいつも、近くに2歳下の宮西がいてくれた。「飯、食べましたか?」とか、何気ない気遣いが
うれしかった。初日のキャッチボールで「やりましょう」と誘ってくれた斎藤は本当に研究熱心。入団して感じたのが、選手ファーストという空気だ。
西川くんの独特なスイングは尊重されているし、中田くん、近藤くんが軸としてしっかりしている。中島くんのようなタイプは、普通の環境では
つくれない。清宮くん、投手では有原、上沢、吉田輝星くん。この年になると「若さって武器だな」と思うし、バリエーション豊かな選手が
味方にいるのは心強い限りだ。

 先発とリリーフ。どっちをやりたいかと聞かれればリリーフと答える。もともと、先発を希望したことは一度もない。理想は1995年の
平井さん。15勝27セーブなんて、今では考えられない。敗戦処理という言葉は好きではないけど、勢いがついた相手を抑えて
流れを引き戻す仕事も絶対に必要。オープナーもそうだし、チームに求められるならどんな仕事でもやる覚悟だ。自分を評価してほしいとは
思わないけど、そういう投手の評価を自分がつくっていければ、という思いもある。

 対戦相手になったオリックスにも感謝の思いしかない。右肘に不安があった僕を自由枠で獲ってくれたこと、1軍で使ってくれたこと、
ここまで育ててくれたこと。14年のオフに残留を決めた理由は、このチームを敵にして投げる姿が想像できなかったから。
今回の移籍についても「何でこうしてくれなかったの?」とか、そんな気持ちは全くない。オリックスでなければ、今の自分はないと
本当に思っている。

 一番の心残りは、一度も優勝できなかったこと。だから最近は、自分の成績よりも優勝への思いが強い。日本ハムは3年前に優勝しているけど、
僕にとっては人生初優勝。お酒は飲めないから、ビールかけは炭酸水がいいかな…。今年でプロ15年目だが、気持ちはルーキーと同じ。
最大の目標を達成するために、1軍で投げ続けることだけを考えている。(日本ハム投手)

スポーツ報知
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190419-00000004-sph-base