2019.4.18
https://www.zakzak.co.jp/smp/ent/news/190418/ent1904180005-s1.html
https://www.zakzak.co.jp/images/news/190418/ent1904180005-p1.jpg
バンダナにロードバイクがすっかり定着した火野正平 バンダナにロードバイクがすっかり定着した火野正平

 私とザ・ワイルドワンズの鳥塚しげきは昭和22年生まれの同学年ということもあり、50年来のおつきあいになる。

 月に一度、東京・銀座のライブハウス「まじかな」では約50人の同世代ファンを前に、「生存確認ライブだよ」と笑いを誘いながら単独ライブを開く。ポール・アンカの曲でツイスト&ジルバを踊り、最後は決まって「想い出の渚」。実に健康的なのだ。

 そんな団塊世代の彼ら彼女らと話をしていると、最も話題にのぼり、“視聴率”が高いのが、火野正平の「にっぽん縦断 こころ旅」(NHK BSプレミアム)である。69歳の火野が自転車(ロードバイク)にまたがり、列島をひたすら人力で駆け巡る。8年間で1万3770キロを走破し、800日以上も旅してきたという。

 当初は、かつての女遍歴のあれこれを思い、「大丈夫なのか」と思ったが、もはや違和感なし。ひたすらペダルを踏む姿がすっかり定着。薄くなった髪をスキンヘッドにしてバンダナで覆い、老眼鏡と思われる色付きメガネの所作までが良い。シニアになってから鍛えられたぷりぷりに筋肉が付いた下半身に見とれて、こちらも旅心地になる。

 過酷すぎる坂道でも住民の手を借りて、チャリを荷台に載せてもらったり、高所恐怖症も隠さず「逃げ出したい」と漏らしたり…。昼食はドライブイン風のメニュー。自らの弱点もさらけだしながら、目的地で、視聴者からの手紙を読む。センチメンタルな手紙にも、感情移入しすぎず涙は見せない。

 私に言わせれば、これは火野の“お遍路行状記”だ。大道無門の志、すなわち至るところに真理に通じる出入り自由の門が開いている。大いに勇気づけられるのだ。(出版プロデューサー)

 ■高須基仁の“百花繚乱”独り言HP=「高須基仁」で検索