【江尻良文の快説・怪説】

米大リーグを引退した元マリナーズ外野手、イチロー氏(45)がみたび国民栄誉賞の受賞を辞退した裏には何があるのか。

大リーグ1年目に首位打者のタイトルを獲得した2001年には「まだ若いので」、シーズン最多安打のメジャー記録を樹立した04年には「プレーを続けている間はもらう立場にない。
野球生活を終えた時に、もし頂けるのであれば大変ありがたい」として、国民栄誉賞授与の打診をいずれも断ったイチロー氏。

過去の言葉を額面通りに受け取るならば、現役引退を表明した今回は断る理由がなかったはずだが、「人生の幕を下ろした時に頂けるよう励みます」というまさかの返答だった。

指導者としてまだ野球生活を続けるというのなら、わからないでもないが、3月21日深夜の引退会見で「監督は絶対に無理。人望がないから」と明言している。

しかも国民栄誉賞第1号は、イチロー氏が「僕にとって特別な存在。神様みたいなもの」と事あるごとにアピールする世界の本塁打王、ソフトバンク・王貞治球団会長なのである。

06年の第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では監督とチームリーダーの関係で奇跡の世界一を達成。太い師弟関係を結んでいるだけに、喜んで国民栄誉賞を受賞するのが普通だろう。

不可解な3度目の辞退の裏に見え隠れするのが、13年に恩師の巨人・長嶋茂雄終身名誉監督と国民栄誉賞をダブル受賞した松井秀喜氏の存在。
オリックス時代から、ゴジラの愛称で人気を集めていた1歳年下の松井氏を常にライバル視してきた経緯がある。

日本では地方球団のオリックス、メジャーでも主に不人気球団のマリナーズで活躍したイチロー氏とは対照的に、
松井氏は巨人からヤンキースという“名門”コースを歩み、日本人大リーガー初のワールド・シリーズMVPまで獲得している。

イチロー氏としては、松井氏の後追いのような国民栄誉賞受賞は、プライドが許さないのではないか。そんな本音が見え隠れする。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190409-00000007-ykf-spo
4/9(火) 16:56配信