※2019年3月30日(土)午前11:00〜11:30にNHK-Eテレで放送の「サイエンスZERO 日本人成立の謎。弥生人のDNA分析から意外な事実が判明」より抜粋

■弥生人のDNAで迫る、日本人成立の謎

ナレーター「遥か昔、日本列島に暮らしていた弥生人。私たちの祖先にあたりますが、一体どんな人たちだったのでしょうか?
その解明を目指す新たな研究プロジェクトが立ち上がりました。研究の柱はDNA分析です。最近の技術で弥生人の骨から取り出された遺伝情報。
その中には日本人成立の謎を解く重要な手がかりが秘められていました」

人類学者(篠田謙一)「現代の私たちが持っている遺伝子の一番おおもとはどこかというと、実は弥生人。今まで漠然と言っていた日本人成立のシナリオが相当細かい形で分かってきます」

■最大規模!弥生人のDNA分析

ナレーター「DNA分析の舞台は鳥取県東部にある弥生時代の青谷上寺地遺跡。20年前、道路工事の際に偶然発見され、大きな注目を集めました。
研究者たちを驚かせたのは弥生人の脳。日本最古の人の脳が3つも見つかっているんです。さらに、木製品や土器など多様な遺物が出土し、保存状態の良さで知られます。
DNA分析のリーダーは国立科学博物館(副館長)の篠田謙一さん。古代人のDNA研究の第一人者です。篠田さんが注目するのは弥生時代の地層から発掘された人骨」
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(VTRを見ている)司会・小島瑠璃子「ああ、歯も綺麗に残ってる」

ナレーター「この遺跡では、全国的にも出土例が少ない弥生人の骨が100体以上見つかっています」

篠田謙一「なんといっても、弥生人の持っていたDNAはおそらく私たちに非常に多く入っている。ですから今、弥生人自体のDNA分析をやっていくことによって、我々との関係をもっと詳しく知っていこうと」

弥生人のDNAは8割が現代日本人に入っている
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ナレーター「水田稲作が伝わったことで始まったとされる弥生時代。紀元前10世紀頃から3世紀頃まで、およそ1200年続いたとされています。日本人の成立にとって、とても重要な時代でした」

    前10世紀    3世紀
縄文時代 → 弥生時代 → 古墳時代
(※国立歴史民俗博物館の研究より)
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ナレーター「元々、日本列島には縄文人が暮らしていましたが、弥生時代になると、九州北部に大陸から渡来人がやって来ました。この時代に日本列島にいた人たちのことを弥生人と言います。
九州北部に上陸した渡来系の人々が東に広がっていく過程で、縄文系の人々と交わり、現代日本人が成立したと考えられてきました。
そのプロセスを科学的に解明するため、今回(山梨大学で)37体の弥生人の骨でDNAを分析することにしました。これだけの規模の調査は初めてのことです」
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山梨大学の??「これらをクリーニングしてからDNAを抽出する」

ナレーター「遺伝情報を記録するDNAは細胞内の核とミトコンドリアの中に存在しています。篠田さんたちはまず、数が多く分析がしやすいミトコンドリアDNAを調べることにしました。
ミトコンドリアDNAは母から子へと受け継がれる遺伝子。母系の祖先がいつ、どこで生まれたのか、ルーツを辿ることができます。DNAが残っている可能性がある側頭骨や歯を削り、抽出を試みました。
当初、篠田さんが立てた予想です。九州北部に渡来した人たちが山陰に来るまでには縄文系の人と交わりが進んでいたはずです。
そのため、渡来系と縄文系の割合は7:3くらいになると考えていました。しかし、分析の結果は篠田さんの予想とは大きく違っていました」
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>>2-5あたりに続く)

<番組公式サイト>
サイエンスZERO 日本人成立の謎。弥生人のDNA分析から意外な事実が判明 - NHK
番組予告動画あり:https://www4.nhk.or.jp/zero/x/2019-03-24/31/27785/2136698/