いつでもどこでも好きなときに好きな番組を見る時代。テレビはどう生き残っていくのか。お笑い芸人のカンニング竹山さんは「テレビ局は動画配信サービスをやめろ!」と提言する。その理由とは?

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 テレビ局がそれぞれ独自でやっている動画配信サービスって、不便じゃないですか? アプリとかで自社コンテンツを有料で公開したりしていますが、僕はやめればいいと思ってるんですよ。どこも成功していないし、全然見られてないんだから! やめちまえ!と思うんですよ。

 特に若い子たちは毎週、放送時間にテレビの前に座って見るっていうスタイルが減ってきて、そもそも家にテレビがないっていう子もいる。そういう中で、せっかく作ったコンテンツをどうやってたくさんの人に見てもらうか。それを考えないといけないと思うんです。

 テレビ局が配信については大手のネット配信会社にすべて委託するか、テレビ局が制作して配信側が買うとか、配信で人気になったものを地上波で流すとか、そういう新しいビジネスがもっと盛んになったほうが、ユーザーとしては絶対に便利になりますよね。AbemaTVとかGYAO!とかAmazonプライムビデオとか、そういう会社のサービスに一つ登録すれば各社のコンテンツをすべて見られるという状態になれば一番良い。そのほうが圧倒的に見られると思うんです。

 だって、せっかく見たいコンテンツがあっても、それぞれに登録する手間とお金が必要で、未成年だったらスマホ代を払っている親に許可ももらわらなきゃいけないだろうし、こんなややこしいこと絶対に成功しないって。例えば、もともとスマホに入れているだろう人気のアプリと提携したり、LINEとかSNSで配信したり、新しいビジネスモデルを作っていかないといけないと思うんですよ。

 それと同時に、会社とか業界の壁を超えてどんどんコラボしていかないといけない。わが社はわが社で配信までやります、というのはもうやめようよ。地上波の放送局と配信局になるサービスがうまく関係を築いて、ネット配信はお任せするという方法が絶対にいいと思んです

一番大事なのは、作ったものを見てもらうことなんだから。見られなかったら意味がないわけじゃないですか。どうしたらもっと見てもらえるかを考えるべきなんですよ。もちろん一企業として儲けや利権も大事だろうけれど、もっと柔軟性を持って、本当に視聴者が喜ぶテレビってなんだろうって考えないといけない時代だと思うんですよね。

 それを感じたのは、ちょっと前に「世界の果てまでイッテQ」(日本テレビ)のやらせ疑惑のとき。『グッディ!』(フジテレビ)がパネルをつくって、熱心に報じたことがあったんですよね。僕はその回に出ていなかったんだけど、世間の評判は良くなかった。結構な人が『グッディ!』に違和感を持ったわけです。

 本当はそこで、スタジオの誰かが「うちだってこういうことあるよね」って方向を修正していたら、評価は変わったと思う。同じ業界内でライバル他社の否を責めても、いまの視聴者は日テレだからとか、フジテレビだからって意識してない。ひとくくりで「テレビ」としか思っていないんです。だから、仲間を責めてダサいって映るわけです。時代は変わったなと思いました。

 娯楽といえばテレビだったのが、ネットができてかなり変わった。それなら、お互いにウィン・ウィンになるような新しいビジネスモデルを考えないといけないですよね。自社コンテンツを囲うんじゃなくて、視聴者が驚くような垣根を超えたコラボをしたり、いい意味で見る人を戸惑わせていくような新しいことがもっと進んでほしい。

 僕が小さい頃、お正月だけウルトラマンと仮面ライダーに別の番組のキャラが出てきて、度肝を抜かれたんですが、そういうワクワク感がほしいですよね。

 やっぱりテレビ局には「わが社」より視聴者のことを考えてほしい! だから各社の独自配信アプリをやめてみるのもひとつの考えかもです。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190207-00000066-sasahi-ent&;p=1