高知商業高校の野球部員が、ダンス同好会の発表会に参加した。日本高等学校野球連盟(高野連)は、その発表会が入場料500円を取っていたから規則違反という。
春のセンバツもそれで落選したようなものだ。この事態に、サッカーのJリーグ初代チェアマン、川淵三郎氏(82)が咆えた。

日本サッカーへの思いを語った川淵氏の著書『黙ってられるか』(新潮新書)ではないが、氏には、Jリーグ創設に尽力し、バスケットボール界を改革した経験がある。
だからこそ、高野連の体質に黙っていられなかった。1月26日、日本スポーツアナリスト協会のイベント。高知商の一件に、甲子園などで入場料を取っていることとの整合性がとれないと指摘し、

「旧態依然たる体質を変えないと。頭が明治(時代)以来変わっていないんじゃないか」
よくぞ言った! と膝を打った方も多かろう。川淵氏にあらためて聞くと、くだんの発言後、学生野球憲章を読み直したという。

「第13条の2項1号に“学生野球が商業的に利用されてはならない”とあります。それが野球部員としての活動すべてに関することなのかどうかは、この文言からは理解できません。
が、野球部が勝手に試合などで料金を取ったりしてはいけないとの内容だと思います」

となると、
「今回のように、野球部の生徒が課外活動として有料の発表会に参加しても問題はないはず。なのに高野連は、条文の解釈で“商業的な利用”という言い方をしたのです。本当に頭が固い。
夏の甲子園に出た3年生部員10名あまりが、世話になったチアリーダーへのお礼で参加した。それのどこがいけないのでしょうか」

柔軟な発想で
 
長年にわたって高校野球を取材するノンフィクション作家の門田隆将氏も、こう語る。
「あきらかに、商業目的ではなく友情に基づいた行為ですよね。お礼の意味の行為を商業目的だと問題化する高野連の感覚は、いったいどうなっているのでしょう。襟を正せと言いたい」

その高校球児で利益を上げているのが高野連だという。たとえば、100回記念大会だった昨夏の甲子園。
「記念大会を機に、ついに外野席も有料にしました。総入場者数は史上最多の101万5千人で、収入は7億8千万円ほど。支出を引いても、2億3千万円ほどの剰余金が生まれています」

プロならば球団にも選手にも還元されるが、
「そういうことは、高校野球ではありません。つまり、高校球児による無償の一生懸命なプレーをもとにして、高野連は商売をしているわけです。にもかかわらず、5日間で4試合といったような、選手生命を脅かす日程の改革もしないのです」

そんな組織に向けて、最後に川淵氏から一言。
「スポーツは楽しむためにあるのに、高野連の野球は苦しむためにある。そんなイメージからの脱却を考えないといけません。いまの時代にマッチした柔軟な発想でやってほしい」

昨年の秋季高知大会を制した高知商のセンバツ落選に、この件の影響を挙げる向きは多い。高知商へ下される処分の内容次第では、“チェアマン”による改革を、との声も出るのでは? 

2/9(土) 6:00配信 ディリー新潮
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190209-00556292-shincho-base&;p=1

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