スコア以上に実力の差が顕著になったJ2・6位とJ1・16位の戦い

 もうひとつ大会の趣旨に疑問を感じたのが、天皇杯決勝の前日に行なわれたJ1参入プレーオフなんだ。この大会は、昨年までJ2の3位から6位までのチームでノックアウト方式を戦って、勝ち抜いたチームがJ1に昇格できていたけど、今年はさらにJ1の16位との“決定戦”というのが増えた。
 
 だから、例年であればノックアウト方式を勝ち上がってJ1に昇格できていたはずのヴェルディが今年は、ジュビロとの決定戦を戦うことになった。そして、結果は2対0でジュビロが勝ったんだけど、そのスコア以上に実力の開きが感じられた。
 
 これまでも何度かJ2の6位のチームが、失うもののない強みを生かしてJ1昇格まで駆け上がったことがあったけど、そのたびにJ1の壁に跳ね返されてきた。今回はまさに一発勝負でそれを見せつけられる形になったわけだ。レギュレーションの変更で昇格できなかったヴェルディには気の毒だけど、J1にふさわしいレベルを伴ったチームではなかった。
 
 要するに今季のJ2は大混戦で多くのチームにチャンスが転がっているようには見えたんだけど、実際はJ2の6位とJ1の下位チームとの間には、これだけの差があるんだということを白日の下にさらす結果になっただけ。この試合、毎年やる意味があるのかな。
 
 多くのチームに夢を与えようという意味でやっていることなのかもしれないけど、ただニンジンをぶら下げて、勢い任せで昇格させても1年を通して戦えば、やはり実力の差は当然見えてくるよ。
 
 天皇杯もそうだけど、協会やJリーグはどこか実情から目を背けて、興行優先でのイベントを作っているようにしか見えない。だから興味を引くための一時的な間に合わせでレギュレーションがコロコロ変わるし、一貫性がない。ずっと言い続けてきたことだけど、継続性がないところに強化や発展はあり得ない。やっぱり継続してこそ重みが生まれるし、偉大な夢につながるのだと思うよ。