大物外国籍選手の加入で盛り上がりを見せた今季の明治安田生命J1リーグ。1月に名古屋に元ブラジル代表のFWジョーが加入したのを皮切りに、W杯中断前には神戸にMFアンドレス・イニエスタ、夏に鳥栖へFWフェルナンド・トーレスと、元スペイン代表としてW杯優勝を経験した超大物がこぞって日本での戦いを選択した。彼らの加入はJリーグに何をもたらしたのか。そこにはサッカーの側面だけではない絶大なる影響力があった。

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今も色褪せないトーレスのネームバリュー

J1の残留争いは、最終的に勝ち点41で5チームが並ぶ未曾有の大混戦となり、後半アディショナルタイムにオウンゴールを献上したジュビロ磐田が16位に転落。J1参入プレーオフへ回ることが決まった。今シーズンのJ1戦線の幕切れを受けて、14位で残留を果たしたサガン鳥栖が水面下で進めていたプランの実現化へ動いた。

ラ・リーガの強豪アトレティコ・マドリーから、「来年7月下旬に国際親善試合を行いたい」というオファーを受けたのが10月中旬。折しも鳥栖はJ1残留争いの渦中にいて、運営会社サガン・ドリームスの竹原稔代表取締役社長は「来年のことを考える上でも、J1に残らないと」と語っていた。

国際経験を積む機会に充ててほしいという趣旨のもと、J1には昨シーズンから「サマーブレイク」が導入されている。対象となるのは、ヨーロッパのプレシーズンとなる7月。これがJ2だと長丁場の戦いゆえに中断期間もなく、国際親善試合をマッチングするにも調整が難しくなる。

だからこそ、J1残留を受けて交渉が加速する。鳥栖はエールディビジの名門アヤックスからも、国際親善試合を打診されている。(※アヤックスとは今年1月にパートナーシップ契約を締結している)ヨーロッパから相次いでラブコールが届く理由は、今夏に加入した元スペイン代表のエースストライカー、フェルナンド・トーレスの存在を抜きには語れない。

トーレスの古巣アトレティコとは、2015年8月にも国際親善試合を組んでいる。この時はアトレティコに出資した中国の大連万達グループとの関係強化が目的とされ、実際に鳥栖から上海へ向かっている。今も色褪せないトーレスのネームバリューが橋渡し役となったと言っていい。

「九州の田舎町でJ1を戦っていくためにも、新しいビジネスのモデルや売り上げを構築していくことに、全力を尽くさなければならない」(竹原社長)

アジア王者・鹿島アントラーズと引き分け、J1残留を決めた1日の最終節後に、竹原社長は来年を見据えながらこう語っていた。ゲームキャプテンを努め、泥臭いハードワークで守備面でも奮闘したトーレスも笑顔を浮かべながら、来シーズンも鳥栖でプレーすることを明言している。

「いまはJ1に残留できたことをみんなと祝って、明日を迎えたら来年のことを考える。そして、いい休暇を取って、ベストの状態で戻ってきたい」(トーレス)

出場17試合で3ゴールに終わった今シーズンの成績には、もちろんトーレス本人が満足していない。興行面で図らずも果たした活躍をピッチの中でも発揮する青写真を、今も「エル・ニーニョ(トーレスの愛称)」として世界中のサッカーファンから愛される34歳はすでに脳裏に描いている。

つづく

12/4(火) 12:01配信 GOAL
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181204-00010006-goal-socc