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2018/11/07(水) 13:44:36.24ID:CAP_USER9今年1月10日。北谷公園陸上競技場は海風が吹き肌寒い。報道陣やファンの姿は見当たらない。この日、サッカーJ3のFC琉球は2カ月後のシーズン開幕に向けて新チームを始動させた。3季目の指揮を執る金鍾成監督は円陣の中でこう言った。「去年のままではチームとしても個人としてもJ2には上がれない。互いの役割をきちんと踏まえ徐々にペースを合わせていこう」。悲願達成へホイッスルを鳴らした。
J3参入5季目のシーズン。金監督1季目の2016年は8位、2季目は6位。徐々に順位を上げてきた。新チーム始動後、主将には自ら立候補した28歳のGK朴一圭が就いた。
元日本代表の播戸竜二や昨季リーグ13得点の枝本雄一郎、小松駿太のほか、大卒ルーキーで県出身の徳元悠平ら即戦力が加入。攻撃的サッカーを志向する金監督は「より結果にコミットする」として、前季の総得点44点から「15点の上乗せ」を目標とした。軸になるスタイルは、これまで磨いてきた失点覚悟のリスクを背負っても攻撃に厚みを持たせる「超攻撃サッカー」だ。
始動後の1〜2月に沖縄でのキャンプを張る昨季J1優勝の川崎など、上位カテゴリーのチームに練習試合で胸を借りた。朴主将は「Jリーグキャンプで自分たちもできるという自信を得たことも大きかった」と振り返る。最年長で世界や「J」を知る播戸が「J2昇格だけではなく、J3優勝や」と経験を植え付けたことも大きな影響を与えた。
多くの選手がチームに残り、攻撃的なスタイルの理解度が深まった。J2昇格への「本気度」がうかがえる補強にも成功。加えて「J3で優勝し、J2昇格」という明確な目標設定と、歯車はかみ合った。
7月7日の第17節で首位に立って以降も加速を続けてJ3最速での優勝。J2経験の長い群馬を率いる布啓一郎監督に「琉球は攻撃に破壊力があった。優勝するにふさわしい」と言わしめた。
朴主将は「ぶれずに攻撃的スタイルを1年間貫いた結果」と胸を張る。いつもは冷静な金監督も大歓声の前に両手を高々と上げて興奮を抑えきれないようだった。「プライドを持って戦ってくれた」と選手をたたえた指揮官は、ファンに呼び掛けた。「J2に向かって、われわれはさらに進化していきます。共にチームをつくり上げていきましょう」
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FC琉球が圧倒的な強さで今季のJ3リーグを制覇し、J2昇格を決めた。Jリーグが誕生した四半世紀前、沖縄からJへの挑戦は「夢物語」だった。創設から15年。紆余(うよ)曲折があり、存続が危ぶまれたこともある。それでも着実に階段を上った「奇跡のクラブ」が、J2という舞台で沖縄サッカー界の新たな地平を切り開いていく。(新垣亮)
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/340604