【カールスバッド(米カリフォルニア州)=一村順子】菊池争奪戦のゴングが鳴る。大リーグの球団首脳が集まって行われるGM会議は、6日(日本時間7日)から3日間の日程で行われる。5日(同6日)はGMら球団首脳、編成担当や代理人が続々と当地入りした。西武からポスティングシステムで大リーグ移籍することが決まった菊池雄星投手(27)を巡る争奪戦も本格化。ドジャースやヤンキースなど、少なくとも15球団がリストアップしていることが明らかになった。

 菊池争奪戦がいよいよ、本格化する。西武が正式にポスティング移籍を容認し、メジャー球団の動きも活発化。ルール改正で譲渡金が契約金額に応じた変動制に変更。資金面に限界のある球団にも手が出しやすくなった背景も手伝って、少なくとも15球団がリストアップする今オフの目玉投手となっている。

 興奮を隠さないのが、ブルージェイズのアトキンスGMだ。「才能ある選手と認識し、情熱と時間をかけて調査を続けてきた。とてもエキサイトしている。我々は(獲得への)準備ができている」。同GMはインディアンス時代だった09年から、花巻東高卒業時の菊池を高評価しており、10年越しのラブコールとなる。近年はテニッシュGM補佐が来日し、調査。モントーヨ新監督体制下、若返りを図り、数年先をにらんでチームづくりを進めるブ軍には、27歳という若さも魅力だ。

 ヤンキースのキャッシュマンGMも、菊池についての直接的なコメントは避けたものの「先発投手の補強がオフの最大課題。複数の先発が必要」と強調。「左投手はいつも、ヤンキー・スタジアムに魅力的だ」と発言した。左打者ベーブ・ルースが本塁打を量産した本拠地球場は、右翼が極端に狭く、伝統的に左投手が重宝されてきた。今季限りでFAとなる左腕サバシア、ハップが流出の方向とみられており、先発ローテを埋める駒が必要だ。

 世界一となったレッドソックスのドンブロウスキー野球運営部社長は「正式に公示されるまでは話せない」と慎重だったが、これまで松坂、上原ら多くの日本人投手を獲得してきただけに目が離せない。

 「我々の先発陣は充実しているが、いい選手がいれば、積極的に取りにいく」というメッツのベンワグネン新GMのように、すでに先発構想が固まっている球団がリストアップの対象に加える可能性もある。MLB公式サイトによれば、菊池は今オフの全FA選手で11番目の評価を受けている。総額4200万ドル(約46億2000万円)プラス譲渡金と言われる和製サウスポーへの注目度は、カイケル、コービンらのFA先発左腕以上に注目されそうだ。

 菊池の代理人がスコット・ボラス氏に決まったと複数の米メディアが報じた。今オフの移籍市場の目玉ハーパー(ナショナルズ)らを顧客に持つ大物代理人。松坂(中日)がメジャー移籍した際の大型契約もまとめた。

 
◆ポスティング制度の譲渡金
 昨年11月に改正。メジャー契約の場合、契約金や年俸などの総額(複数年の場合は総年数の総額)によって変動する。総額2500万ドル未満はその金額の20%、2500万ドル以上5000万ドル未満は17・5%、5000万ドル以上は15%。マイナー契約は契約金の25%。選手が契約したインセンティブ(出来高払い)に応じた譲渡金も別途、各シーズン後に確定した額の15%がNPB球団へ支払われる。


11/7(水) 6:05配信 スポーツ報知
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