0001砂漠のマスカレード ★
2018/10/27(土) 10:10:59.70ID:CAP_USER9――プロ構想はスウェーデンに留学した大学時代からあったと聞く。
「本格的に考え始めたのは20年前。私が『ドイツのブンデスリーガみたいなものをつくりたい』と言ったときも周りの反応は『うーん』という感じでした。
当時、日本にプロ選手はほぼいなかった。Tリーグは新リーグという形でプロリーグとはうたっていないですが、『なぜ新リーグが日本に必要なのか』を理解させるのに最も時間がかかった。
『必要ない。今の日本の卓球は強いから今のままでいい』と言う人や、中には選手のセカンドキャリアも含めてスポーツを通じてどう社会に貢献するのかが分からない人もいて、
『オレには関係ない』と言ってくる人も。自分の損得を考える人も少なくなかった」
――どんな説明を。
「『Tリーグは組織的に日本の選手を育てることができる』と説明しました。各チームには6歳以下の卓球スクールをつくることを義務化したんです。
日本は縦割り社会なので、今の仕組みだと世界に行くのも一気には行けない。強くなる子はご両親がいろんな場所に子供を連れて行っている。
Tリーグの場合、上のプロと下のジュニアが一緒の場所で交ざるので、高い技術を見て盗むこともできる。
組織単位で常に強い選手を輩出できると思います」
――それでみなさんは納得した?
「先輩方の中にはハナから『卓球でお金を生むなんて無理』と言う人もいた。
スポーツでお金を稼いだことがない人たちなので仕方ないが、国内リーグで集客に苦労した経験のある人は『1000人も入らない』と言ってました。
そんな声を乗り越えて、一般社団法人として承認されるまで7年くらいかかりました」
――この流れで今後、プロ選手が増えていくか。
「増えると思います。日本卓球界にはプロ登録制がない。明確なプロアマの線引きがなく、『ラケット一本で食べているならプロ』。
日本では男女で50人くらい。プロ制度はガバナンスを利かせるためのもので、好き勝手やるとスポンサーやパートナーの権益を管理できなくなる可能性も出てくる」
――多くのメダリストが参戦する中、伊藤美誠選手は今回辞退した。
「『五輪に集中したい』という理由でTリーグは不参加ですが、いろんな考えがある。技術力の向上に寄与できると思うので、いつでも来られるよう門を開いています。
外国人枠もつくっていないし、世界一オープンなリーグを目指している。
東京五輪対策で手の内を明かさない選手もいるかもしれませんが、情報化社会ですから限界がある。今はみんな丸裸。新しい技術を五輪でイチかバチかでは勝負しづらい。
情報が分かったうえで勝つレベルまで持っていかないと、一度くらいは勝っても、それ以上は伸びないと思います」
――東京五輪後、スポンサーの支援が縮小する「東京の崖」への不安はありますか。
「よく言われますよね。その不安はもちろんあります。2020年まではお金を出してくれても、五輪を過ぎると少なくなる。
だから、少し(資金援助が)落ちてもそれ以上に(卓球界が)盛り上がっちゃえばいい。消えてなくならないよう、ロケットのようにどこまで上がれるか。今から2〜3年が最も大事です」
――そのためには、何度も見に来てくれるような工夫も必要だと。
「1万円だったら1万円のものを提供しないとお客さんは離れてしまうし、納得しない。繰り返し来てくれる工夫もしないといけないと思っています。
演出は常識にとらわれず、新しいことをやりたい。先輩たちには『卓球はこんなんじゃねえ』と言われそうですが。
常識は人それぞれで、一般論もアテにならない。間違った人が大勢いて多数決をしたら、それが一般論になる。
それが卓球の発展を阻害していると思います。少数意見も大事にしないといけない。でも、これからいろいろ言われるんでしょうね(笑い)」
▽まつした・こうじ
1967年、愛知県生まれ。93年、日本初のプロ卓球選手となる。スウェーデン、ドイツ、フランスの欧州リーグを経験後、2002年、中国リーグ参戦。日本を代表するカットマンとして92年のバルセロナからアテネまで五輪4大会に連続出場。09年、41歳で現役引退。翌10年に卓球用品メーカー「ヤマト卓球」(現・VICTAS)の社長に就任。17年4月に一般社団法人「Tリーグ」を設立、チェアマンを務める。日本卓球協会理事。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181027-00000018-nkgendai-spo
10/27(土) 9:26配信