合弁相手であるテレ朝との関係性も注視したい。サイバーとテレ朝両社の社内には今「一枚岩」と書かれたポスターが貼られ、連携を深める経営の意思が明示されている。「そもそも一枚岩であればこういうものを貼らなくていいのでは?」という記者の質問に対し、藤田社長は、「現状が一枚岩でないということはない」と否定しつつ、「社員に『ネット対テレビ』という、漠然とした競争意識を持たないでほしいというメッセージを込めている」と話す。

 「テレビが好きで、テレビの現場で仕事をしている社員からしたら、ネットのほうが伸びていくことに不安を覚えたり、競合に思えたりするかもしれない。でもそう考える必要はなくて、(ポスターは)両社の共同事業なんだ、ということを改めて社内に強調したものだ」(藤田社長)。

 アベマTVの一番のリスクはむしろ、「(サイバーエージェント本体の)広告やゲームの既存事業が失速して、先行投資を続けられなくなること」(藤田社長)だという。広告もゲームも足元は好調だが、特にゲームは市場が頭打ち状態にあり、いつまでも稼げるとは限らない。組織内の結束を固め、新たな放送局として早期に勝ちパターンを見つけたいところだ。