V2戦に判定で完敗しWBA世界ミドル級王座から陥落した村田諒太(32、帝拳)が23日、米国ラスベガスからサンフランシスコ経由羽田着のJAL便で帰国した。

サングラスで傷を隠すほど、かなりのダメージを受けていたが、気丈にメディアに対応。進退については「周りがどう思うか。自分一人で決められるものではない」「置かれる状況の変化でも変わってくるもの」と、揺れ動く心境を明らかにした。

 一方で新王者になったロブ・ブラント(28、米国)のプロモーターは、試合前に再戦条項に同意していたことを明らかにして、その場合、日本で試合をする用意があることを表明した。

村田サイドは、再戦の権利行使の有無を30日以内に決めなければならないが、村田が再起の決断さえすれば、リベンジの舞台はある。誰のために。何のために戦うのか。村田よ、もう一度、立て!

 村田の足元がおぼつかない。腫れた目をサングラスで隠していたが、相当なダメージを負ったことがわかる。傷心の飛行機内では、「あと1時間20分で到着します」のアナウンスで、やっと目が覚めるほどに熟睡していた。心身共に疲労困憊……。

 それでも村田は羽田空港内で気丈にメディアに対応した。 さすがにスマホに書かれた質問を読み上げるテレビ媒体の無神経な質問に「進退?飛行機の中で決めるようなことではない。何も変わっていない」と、イラ立ちは隠せなかったが、包み隠さず現在の心境を明らかにした。

――“たられば”の悔しさが出てきているのでは?

「試合内容は決していいものではなく、パフォーマンスもいいものではなかったと思っているが、今、ああしておけば、こうしておけばの、たらればを考えても意味がない。それは自分へのエクスキューズ。調整力も含めての実力なんです。あそこで出るのが、すべて自分の実力。それを受け入れるしかない」

――ボクサーによっては敗北を受け入れられない人も少なくない。自分の中で葛藤は起きていないか?
「これから、子供のリアクションなんかを見て、ああだ、こうだ、置かれる状況の変化とかに感じるものがあるかもしれないが、今の段階ではなんともいえない」

――ファンは進退に注目している。周りと相談して決めていくんだと思うが、決断する際の決め手は何になるのか?
「周りがどう思うか。自分の考えで刷り合わせていく。一人で決めることではない。まだ2日。心境っていうのは、変わってくるもの。そんな簡単に、こうしたら、ああしたらの決まりを言えるものじゃない。周りと話をして決めたい」

 ブラントとのV2戦は決定の過程から紆余曲折した。しかも勝利を条件に東京ドームでの元統一王者、ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)とのドリームマッチが計画されていた。周囲の努力が、すべて水の泡に消えて村田には、大きな迷惑をかけてしまったという無念がある。

 この試合は、世界的規模でボクシングビジネスに参入したスポーツコンテンツ配信会社の「DAZN」がネットで生中継することになり(全米中継はESPNのネットストリーミング)大量のテレビCMが打たれた。

 国内のブランディングアップに村田を“ランドマーク”にしたいという「DAZN」の思惑に帝拳サイドが応じたものだが、ミドル級というビッグマーケットで戦う村田には、多くのナショナル・クライアントがつき、スケジュールが組まれ、もはや、自分一人のエゴで、やる、やらない、を決めることのできない規模のプロアスリートとなっている。

つづく

10/24(水) 4:30配信 The page
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写真
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