これも今月25日のドラフト会議へ向けた“情報戦”の一環なのか。

 ここ数日、大阪桐蔭・根尾昂(あきら)内野手の名前がスポーツ紙をにぎわしている。6日に巨人の親会社系列紙などが「巨人、大阪桐蔭・根尾を急展開のドラ1指名へ」、「巨人、根尾が1位指名筆頭候補」と報じ、8日には「楽天ドラ1最有力は根尾」の報道があった。

 巨人の球団関係者がこう明かす。「ウチはまだ根尾で一本化したなんてことはないよ。でも、『吉田(輝星投手=金足農)で決まった』って話が出回って閉口してたのも事実だね。吉田に決めたとは誰も言ってなかったはずだから」

 すでに高橋由伸監督の退任が発表され、鹿取義隆GMも辞任が不可避の状況で、新体制発足前に1位を絞り込むのは不可能だという。

 現時点でドラフト1位候補は吉田、根尾、同僚の藤原恭大外野手、報徳学院・小園海斗内野手、日体大・松本航投手の5人。新体制発足後の23日の最終会議で一本化される見込みだ。

 「吉田がウチのファンだというのは、もちろんうれしいことだけど、それで決めるわけにはいかない。身長がそこまであるわけではない(176センチ)し、完成度という点でいうなら変化球の精度がまだ足りない」と同関係者。最も心配していたのは「いざ本番で吉田を指名しなかったときに、『その気にさせておいて指名しなかった』とウチが悪者になること」だったという。10日に予定されている吉田のプロ表明会見の前に、「吉田1本」のイメージを払拭し選択肢を広げておきたい思惑があったわけだ。

 新体制に「はしごを外した」というイメージが付くのを避けたいのは、GMに就任した石井一久氏と平石洋介新監督の体制で臨む楽天も同じ。地元東北出身のスターに執心とみられていたが、フロント、スカウト陣を刷新した上で改めて検討することになる。

 実際には、根尾にはすでに“準地元”の中日が1位入札を宣言済みで競合は避けられないだけに、吉田や大学、社会人の即戦力投手など、他候補への路線変更は大いにありえそうだ。(片岡将)
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