2018年09月20日
北野武『キッズ・リターン』の撮影で失敗しまくり…安藤政信が明かす撮影秘話

J-WAVEで放送中の番組『SAPPORO BEER OTOAJITO』(ナビゲーター:クリス・ペプラー)。9月15日(土)のオンエアでは、六本木ヒルズライブラリー アカデミーヒルズで行われた公開収録の模様をお届けしました。ゲストに俳優の安藤政信さんをお招きし、デビュー映画『キッズ・リターン』の制作秘話や、最新作『きらきら眼鏡』の魅力などを伺いました。

(中略)

■北野武監督『キッズ・リターン』の撮影

そんなミュージックライフを経て、スカウトで芸能界入りした安藤さん。

安藤:19歳ぐらいで、川崎でスカウトされました。学校の帰りで、学ランだったんですけど、なんかずっと電車から見てる人がいるなって思ってたんです。

クリス:ストーキングされたわけですね?

安藤:はい(笑)。地元だったんで、「ウソだろ?」って思ったんですよね。そしたら、スターダストプロモーションっていう名刺で、僕は当時知らなかったんですけど、裏見たらすっごく売れてる人がいっぱいいて、言われるままに電話番号とか書かされて、「事務所に来てくれ」って言われました。それで、流れるがまま契約書っぽいものを「はいはい」って書いて……。

クリス:ちゃんとしたいい事務所でよかったですよね。

安藤:そうですね。それで、1カ月後に『キッズ・リターン』だったんです。

クリス:それもすごいですね。北野監督ってどちらかというと、すごく芝居慣れした人よりも鮮度の高い、あまり慣れてない人をあえて使う監督のようですね。

安藤:本当に慣れてなかったんで、「セリフを言ってくれ」って言われたときに、みんなすごく真剣な表情なのを見て笑っちゃって(笑)。おかしくないのに笑ったり、怒る場面じゃないのにめっちゃ怒って……というのが、見ていて笑ってしまったんです。だから全然、芝居ができなかった。

クリス:ちょっと俯瞰で見ちゃうと……。

安藤:ずっと俯瞰でしか見られなかったんです。『キッズ・リターン』の本番中も笑っちゃったりとかしてるんですよ。その場面も映っちゃってるんです。

クリス:それはちゃんと役どころに合った笑いだったんですか? 

安藤:いや、全然、シリアスなシーン。僕が肘打ちをして、コーチから怒られるっていうシーンでした。コーチがすごい剣幕で僕のことを怒ってるんですけど、まだ(芝居を)やりたてじゃないですか。人が真剣に怒ってるって笑っちゃいけないんですけど、笑っちゃって(笑)。

クリス:でも監督はあえて使ったわけですもんね。

安藤:監督は1回テストで、1回本番しか撮らないんで、失敗でも全然OKなんですよ。

クリス:失敗でも全然OKなんですか(笑)?

安藤:失敗しまくりでも全然OKです。武さんのメソッドやスタンダードが、役者のスタンダードだと思ってたから、次の作品で「役者ってこんな大変なんだ!?」って(笑)。すごく楽だと思ってたんです。
「押す」とか「押さない」とか、当時はわからなかった。タイムスケジュールってあるじゃないですか。武さんはめちゃくちゃ早いんですよ、1回しかやらないから。「役者ってこんな楽なんだ!」みたいな(笑)。セリフも少ないし、「めちゃくちゃ間違えました!」、「OK、OK!」って。でも次の作品では、「間違えました!」ってなっても全然OKじゃないんですよ。僕のときに、怒らない監督が怒ったんですよ(笑)。

クリス:普段は怒らない監督なのに? 

安藤:普段は怒らない監督だったんですけど、二十数回目で、めちゃくちゃブチ切れて、「てめえ何回やってんだ、この野郎!」とか言われて、「すいません」みたいな……。

>>2以降につづく)


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