若いほど進行が早いといわれる「がん」。日本人の2人に1人が罹るといわれるこの病気のことを私たちは、どれだけわかっているでしょうか? 先日、『ちびまる子ちゃん』で知られる漫画家・さくらももこさんが、乳がんのため亡くなりました。53歳という、あまりにも早すぎる死を惜しむ声が寄せられています。
本寄稿では外科医として、これまで大腸がんなど1000件以上の手術にかかわってきた筆者が、がん治療の「民間療法」について明かします。患者に面と向かっては言えない「医者の本音」とは? 

大腸がんの治療中、患者さんに「◯◯療法をやりたい」と言われることがあります。◯◯は実にさまざまで、「免疫」だったり「温熱」だったり、高価な「水」だったり「気功」だったりします。これらの治療法はまとめて「医療」と呼ばれ、ほかにもサプリや健康食品、ビタミン療法などがあります。

これらの治療法にどれくらいの効果があるのでしょうか。そして、患者さんに「◯◯療法をやりたい」と言われたときに、医者はどう感じるのか。その本音をお話ししたいと思います。

はじめに申し上げておきたいこと。それは、多くのがん患者さんが何らかの代替医療を実際にやっているという事実です。

厚生労働省がん研究助成金による研究班が行った調査(2005年発表)によると、「がん患者3100人のうち1382人(約45%)が、1種類以上の代替医療を利用している」。そして「平均して月に5万7000円を出費している」のだそうです。
https://toyokeizai.net/articles/-/237154?display=b
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理由の1つには、「病院で受けられる治療は誰でも同じ額である」という点が挙げられます。いいサービスを受けるためには高いお金を払う──これは当然のことのようですが、日本国内の病院で受ける治療に限っていえば、当てはまりません。

日本では「標準治療」という名前で、日本中ほとんどどこの病院でも、ほぼ同じ治療が受けられるのです。大金持ちの人も、生活保護を受給していて医療費を支払わない人も同じです。負担額は収入に応じて少しずつ変わりますが、治療内容は変わりません。そのことが、判断を誤らせている可能性があります。

「治療の効果は、お金を出せばもっといいものになるに違いない」

そう思った人が、高額ながんの代替医療を選んでいるのかもしれません。しかし、医療は基本的に規制産業です。すべての診断や検査、手術は1回いくらと決められていて、それはどんな熟練医が行っても1年目の研修医でも、また地方でも都会でも変わりません。参入障壁が高く、価格を自由に設定することは不可能で、おまけに医療機関の広告も法律で厳しく規制されているのです。

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ですから、がんの患者さんへお伝えしたいことがあります。それは、代替医療をやっていることを医師に伝えてほしいのです。サプリから健康食品、漢方、気功など何でも結構です。

教えていただきたい理由は2つあります。1つは「その代替医療が病院で行っている治療に影響がある可能性があるから」です。そしてもう1つは、「あまりに高額なものを使わされて、詐欺のようにお金を吸い上げられていることがあるから」です。

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https://toyokeizai.net/articles/-/237154?page=4

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