00013倍理論 ★
2018/08/28(火) 17:39:43.49ID:CAP_USER98月27日、アジア競技大会準々決勝でU-21日本代表はU-21サウジアラビア代表と対戦。2-1の勝利を収め、2大会ぶりのベスト4進出を決めた。準決勝は、PK戦で北朝鮮を下したUAEと29日に対戦する。
若き日本代表は少しずつ変わり始めた。
アジア大会準々決勝・サウジアラビア戦。日本は31分、杉岡大暉(湘南ベルマーレ)のクロスを前田大然(松本山雅F.C.)が収め、落としを岩崎悠人(京都サンガF.C.)が決めて先制。だが39分、サウジアラビアのシュートをGK小島亨介(早稲田大)がはじくと、そのボールがDF立田悠悟(清水エスパルス)に当たってオウンゴール。しかし、73分、前田の突破から岩崎が再び決めて2-1で試合を終えた。
「強い」相手に言わば会心の勝利。ここまで「辛勝」が多かったが、このサウジアラビア戦ではあきらかに選手にチームに変化と成長が見られた。その理由とはどこにあるのか? 現地で取材を続ける川端暁彦氏にひも解いてもらった。
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「言い訳っぽくなるから言いたくなかったんですけれど……」
アジア競技大会の準々決勝前日、スタジアムでの公式練習を終えたFW前田大然が、そんな言葉から切り出したのはピッチ状態の話だった。この準々決勝から会場がボゴールのパカンサリスタジアムへ移動となったが、ここまで日本を苦しめてきた「芝」からついに決別できた意味は実際、小さくなかった。
「まるで違いますね。ここでずっとやりたかった」と前田が笑えば、MF三好康児(北海道コンサドーレ札幌)も「これまでで一番良いグラウンド」と断言。試合後にもFW岩崎悠人が「日本のピッチでやっているような感じでした」と喜びを語った。特別に抜きん出て良い芝だったわけではないと思うのだが、これまでとの比較があるだけに、感じ方も違う。激辛カレーを食べたあと、普通のスイーツを食べたようなものである。
上から観ていても、グラウンダーのパスが奇妙なバウンドをしたり、なぜか失速したりすることはなく、ボールを蹴った選手が恨みがましく地面を見つめる仕草を見せるようなこともなかった。
もちろん、芝が良いときもあれば悪いときもあるのがサッカー。ピッチ状態を言い訳にしたり、そこに責任転嫁してしまうのはサッカー選手として良いこととは当然言えない。ただ、チームパフォーマンスが上がらなかった一因として、劣悪なピッチがあったこともまた間違いない。それは「これまでの相手で一番強い」と選手たちが誰もが覚悟していたこの準々決勝・サウジアラビア戦で、選手たちが技術的に最も高いパフォーマンスを見せていた単純な事実からも明らかだろう。
このサウジアラビア戦に選手たちがある種の「やりやすさ」を感じていたのはピッチ状態だけではない。
ここまでのネパール、パキスタン、ベトナム、そしてマレーシアという相手は、チャレンジャー精神を持って向かいにくい相手であり、選手たちが何となく「勝って当然でしょ」という空気を感じながら戦わないといけない相手だった。
実際のところ、特にベトナムについては4強に勝ち残ったことからも分かるように、本当に強いチームではあるのだが、ただ「イメージ」というのは難しい。このSNS時代ゆえ、選手たちは市井の声もダイレクトに受け取ってしまうという面もある。実際、「日本からの声」について触れる選手は複数いて、何ともモヤモヤした感覚を抱えながらの戦いだった。
その意味から言っても、映像を観ても、かつてU-19代表時代に対戦した経験からも「手強い、強い、攻撃のタレントが豊富。一言で表すと『非常に強い』チーム」(森保一監督)であるサウジアラビアは分かりやすい相手だった。どう観ても強いだけに、素直にチャレンジャー精神になれる。チームメンタルの持って行き方が容易な相手でもあった。
もちろんメンタルだけで勝てる戦いでもない。戦術的には、まず丁寧なビルドアップをしてくる相手の意図を岩崎、前田、そしてFW旗手怜央(順天堂大)の走力自慢の三本槍を中心に挫きつつ、最前線のFWカマラを孤立させることだ。
また相手の4−3−3システムに対して、日本の3−4−2−1は「システム的なミスマッチができる」(森保監督)が、これはあえて許容した。
森保監督は後ろを4バックにして相手に合わせることも考えていたことを示唆しているが、ここは選手たちの対応力を信じた。逆にそのミスマッチをうまく使ってボールを動かせるかどうか。守備のミスマッチについて、コミュニケーションを取りながら対応できるかどうか。つまり総合的に戦術的な部分をしっかり洞察して戦えるかどうか。そしてこの点について「賢く戦ってくれた」と指揮官は満足げに振り返ることになる。