基礎教育を身につけるのが高校生活

私立高校の広告塔として優秀な野球エリートを集める甲子園常連校は、中学校を卒業後、親元を離れてきた生徒たちを、ちゃんと教育しているのだろうか。

いうまでもなく、野球の練習で心身を鍛えるのも大事だが、高校の3年間は野球だけでなく、将来の社会人として、しっかり基礎教育を身につける時期である。

プロ野球の名門といわれ、球界のリーダーであるべき巨人で、2015年の野球賭博をはじめ、2016年のOB・清原和博の覚醒剤による逮捕、
今年の野球用具の盗難・売却など不祥事が絶えないのも、高校時代のいびつな球児教育と無縁ではないだろう。

たしかに現代の教育制度では、私立高校に学区の制限はない。
しかし都道府県の代表を誇りとする甲子園大会で、私立高校だけ日本中どこから入学してもいいのはおかしいだろう。

そして野球少年たちも、甲子園に行きたいのなら家を離れて遠い高校で寮生活を送るより、地元都道府県の高校で甲子園をめざしたらいいではないか。

甲子園球場が高校野球の聖地なら、高野連は100回のお祭りに浮かれるより、足元を見つめ直して“越境入学”による野球留学の禁止を検討したらどうか。

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■広岡 達朗
1932年、広島県呉市生まれ。早稲田大学教育学部卒業。学生野球全盛時代に早大の名ショートとして活躍。
1954年に巨人に入団、1年目から正遊撃手を務め、打率.314で新人王とベストナインに輝いた。
引退後は評論家活動を経て、広島とヤクルトでコーチを務めた。
監督としてヤクルトと西武で日本シリーズに優勝し、セ・パ両リーグで日本一を達成。
指導者としての手腕が高く評価された。1992年に野球殿堂入り。『動じない。』(王貞治氏・藤平信一氏との共著、幻冬舎)、
『巨人への遺言』『中村天風 悲運に心悩ますな』(ともに幻冬舎)など著書多数。新刊『日本野球よ、それは間違っている! 』(幻冬舎)が発売中。