サッカー・ワールドカップ(W杯)ロシア大会では、前評判を覆す活躍を見せた日本代表。次期監督が森保一氏に決まった。目標のベスト8に向けて、森保ジャパンには何が必要か? 4年後の日本代表の顔ぶれはどうなる? 「ポスト本田」は? フリーライターの元川悦子さんに解説してもらう。

■森保氏、五輪代表と兼務

 2日(日本時間3日未明)、W杯ロシア大会で日本代表がベルギーに2−3の逆転負けを喫してから1か月弱。大会を指揮して2大会ぶりの16強へ導き、今月いっぱいで退任する西野朗監督の後任に、U−21(21歳以下)日本代表監督の森保一氏が就任することが26日、決まった。

 森保氏は2020年の東京五輪を目指すチーム作りを昨年末からスタートさせており、A代表と五輪代表を兼務することになる。この体制は2000年のシドニー五輪と2002年の日韓W杯で代表チームを率いたフィリップ・トルシエ監督以来のこと。ただ、両代表の活動が重複するケースが出てくるため、森保氏を補佐するスタッフの存在が非常に重要になってくる。

■補佐役に「世界基準」の外国人指導者を

 トルシエ時代の1999年にも、南米選手権(パラグアイ)とシドニー五輪アジア予選の日程が重複したことがあった。その時はトルシエがA代表を見るためパラグアイへ飛び、五輪を山本昌邦コーチ(現解説者)が率いた。山本コーチはシドニー五輪世代をユース時代から指導していて、選手のことを熟知していた。一定の手腕を持つ別の指導者がスタッフ入りすることで、森保氏もA代表に軸足を置きながら思い切った活動ができるはず。そこは注文しておきたい点だ。

 さらに言うと、「世界基準」を日常的にアップデートしていくためにも、世界トップを知る外国人指導者からサポートを受けられる体制を構築した方がいい。日本サッカー協会の関塚隆・技術委員長も「日本人監督の優位性はロシアでも証明された。ただ、日本人だけでは8強の壁を越えられなかったのも事実。そこをもう一つレベルアップさせる必要がある」と外国人関係者の力を借りる必要性を話していた。

 90年代に名古屋グランパスで監督を務め、昨季限りでイングランドの名門・アーセナルを退任したアーセン・ベンゲル氏にテクニカル・ディレクター就任を要請しているという報道も出ているが、そういうクラスの人物を招聘(しょうへい)できるなら理想的だ。森保氏にないものを埋める体制構築にも引き続き努めてもらいたい。

■まずはアジア制覇から

 こうした中、新生森保ジャパンは9月7日のチリ戦(札幌)から本格始動する。年内に六つの国際親善試合を行い、来年1月にはアジアカップ(アラブ首長国連邦=UAE)でのアジア王者奪還に挑むことになる。前回の2015年大会では準々決勝でUAEにPK負けして8強止まりに終わっているだけに、今回こそは頂点に立たなければいけない。

 代表引退を表明した長谷部誠(フランクフルト)に代わって新キャプテン就任が有力視される吉田麻也(サウサンプトン)も「アジアの大会は難しいし、韓国、イラン、サウジアラビアとW杯ロシア大会で悔しい思いをしたチームがまたチャンピオンになろうと全力を出してくる。僕らもまたアジアカップを奪い返しにいかないといけない。まずはそこからだと思う」と、4年後の2022年W杯カタール大会への重要な試金石になるアジアカップに強いこだわりを示している様子だ。

つづく

7/28(土) 7:01配信 読売新聞
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180726-00050063-yomonline-spo

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